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「お、オレ、サーティス・ニーヴァ、よろしくっ」
ユーキと同じくらいの身長の男子は、上ずった声でそう言うと、サッと前を向いた。
「あ、ああ? よろしく」
名前、忘れる、と思いつつ、とりあえずはうなずいておく。
そして教室らしき部屋につくと、担当教師は席につくよう指示した。
新入生は素直に従う。
全員、静かに着席すると、満足そうに教師は見回した。
「まずは、入学おめでとう。私はこのクラス4の担当教師、ソマルです。このあとはそれぞれ、自己紹介のあと、魔力検査をして解散です。本日入寮する者は、今日中に生活用具をそろえるように。何か質問は?」
みな静かに、ソマルを見ている。
「ないようだな。では端から……」
指定された生徒が立ち上がり、緊張しながら話し出す。
「タリー・ヘルギアです。得意魔力は風です。準クランはCです。よろしく」
ぺこりと教師に頭をさげ、腰をおろす。
次の生徒が立ち上がり、席が窓側のユーキはポカンとしていた。
(得意魔力……っ? 準クラン、て、なんだっ??)
慌てて、左耳のピアスに指先で触れる。
真っ黒な漆黒のそれは、色々機能がつけられた通信用なのだ。
早速、頭の中で呼びかける。
『レイ、レイ? いま平気?』
『──どうした』
『いま、自己紹介やってるんだけど、準クランてなに!? 得意魔力って??』
こちらの世界の常識が分からないユーキは、早速つまづいていた。
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