4

「───では、メイガル国立魔法学士のさらなる発展と、皇国の繁栄に!」


一泊置いて、全員が唱和した。


「皇国の繁栄に!」


周りの声が大きくて、ユーキが反応できなかったのは誰にも気付かれなかったようだ。


(なんか、独裁国家みたいだな……)


みたい、ではなく実際に皇族の独裁帝国なのだが、まだ知識がないユーキには追いつけない。


「では、各クラスに移動します。クラス担当教師に、ついて行くように──」


新入生は再びゾロゾロと、大移動を始める。


来た道を戻り、庭園を通過し、校舎へと。


ぼんやりと列について行く途中、ふいに後ろの生徒が話しかけてきた。


「あのっ、貴方……お名前、教えてくださる?」


「……俺?」


一瞬、誰に話しかけてるのかと思ったが、女生徒はユーキしか見てない。


女生徒は振り向いたユーキに見詰められ、かすかに頬を赤くさせた。


「ユーキ・……せ、セリア」


「セリアさんね、私はティン・ダロワズ。セリアさん、身長高いのね」


「ん」


前を向くと、今度は前を歩く生徒が振り向いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る