第274話・どうぞ私のおんぶに乗ってくださいと言う女の子
アイスクリーム屋は、それほどクーラーが効いてなかったのが、かえって、汗で
びしょ濡れの女の子にとっては、よかったともいえる。びしょぬれのまま冷やすと
風邪ひいちゃう、まだ中学生の子供だし・・。
「栃木から東京へ出てきて、東京の男をおんぶしてみた感想はどう?」
「ひどいですよ、こんな疲れることさせて、遠くから出てきた女の子に」
「でも、おんぶしてもらえたボクはすごく幸せになれてるんだから、カナが栃木
から、ボクをおんぶしに出てきてくれたこと、人を幸せにしたんだよ」
「私が幸せになりたいから東京へ遊びにきたのに、もう・・」
カナの隣に座ってる女友達のマイコにボクは訊いてみた。
「男ひとりを幸せにして大汗かいてる今のカナって、輝いてるステキな女性になってると思わない?」
「思う思う、、カナ輝いてるよ」とマイコ。
「無責任なこと言ってる、マイコ。あんたも、男の人をおんぶしてみなさいよ。重くて手は痺れてくるし、もう地獄の蒸し暑さだったんだから」
「私は、荷物持ちしてるから、おんぶは、このあともカナがやっててよ」
「マイコ、ひどいよ。おんぶは重いんだから、交代してよ」
「遠慮するよ。クロさんはカナに乗りたいみたいだし」
「そうなの??、クロさん」
「うん、カナに最後まで乗りたい。だけどカナがどうしてもヤダっていうなら、
マイコにお願いするよ」
「どうするのよ?、カナ」とマイコが問い詰めると
「わかったわよ、私がおんぶするわよ」と、カナは泣きそうになりながら。こんなにまで泣きそうになるほどに、70キロの男をおんぶして歩くって、女子中学生にとってはツラいことなのだろうか。にもかかわらず「私がおんぶするわよ」と引き受けてくれちゃうところが、素敵な女性すぎるーーJCにして・・。
ボクは、こんなステキすぎる女の子のおんぶにまた乗れると思うだけで、ドキドキしてきてしまい、この興奮がさめないちに、今すぐ乗りたい・・。
「カナ、もうじゅうぶん休んでアイスクリームも食べたし。そろそろ行こうか」と。
「えっ、もっと休んでいたい」
「ボクは今すぐにでもカナのおんぶに乗りたいの」
「ホントに私にのるんですか? こんなふらふらの女の子に乗るんですか?」
「うん、乗るよ。おんぶしてもらった方が楽だし」
「はい、わかりました」
「乗る前にひとつおねがいがあるんだけど、カナ」
「なんですか?」
「どうぞ私のおんぶに乗ってください、って言ってほしい」
「なんで?」
「言葉に萌えるってのがあるの」
「はい。どうぞ私のおんぶに乗ってください」
「わかった、じゃあ乗らせてもらうよ」と言ってからボクは、カナをしゃがませて、その上に覆いかぶさるように体重を乗せ、「はい、立ち上がってぇぇ」と。
しゃがんだ姿勢から立ち上がりをトライしてみたカナは
「あっ、立てない。重い、立てない・・」と。すると、店先でこんなことやってるもんだから、周囲の人たちがスマホとかで撮影を始めつつ「女の子、頑張れ」と声援を送りはじめ、ちょっとしたショーイベントのようになってしまった。しかし、小柄なカナは、たぶん、70キロのボクを下から持ち上げて立ち上がることはできないであろう。しかし周囲の人たちは次のなにかを待っている、どうしようか。
ボクは、カナを四つん這いにさせて、お馬さん乗りすることにした。カナは身長153くらいの小柄な女の子なので、腰のぶぶんを低くたわませるボディーラインの
曲線づくりには不向きだ。とはいえ、小柄な女の子がかわいいミニスカファッションでお馬さんやってボクのようなダサ男に乗られているのは絵になるだろう。
四つん這いになってくれて、ボクに乗られるのを待ってるふうにも見える女の子の華奢な背中のラインにはちょー萌える。みんなが見てる中、ボクは、女の子の背中にちょっと荒々しくどっかりと座り、両足を宙に上げて、全体重を女の子の上に乗せてることをわかりやすく見せた。カナの綺麗な黒髪を片手で束ねて持ち上げると、
スマホの撮影音がいくつか聞こえた。
イベントショーになってきたので、ちょっと苛酷なことやらせても、盛り上がれば、カナも頑張るかもしれない、とボクは、カナの上でほくそ笑んだ。で、命令口調にしてみた。
「よし、カナ・・歩け」
「ハイ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます