第273話・女の子のおんぶ上での上と下での会話楽し

 カナは、2~3回に分けて頑張って、ボクの身体を跳ね上げてくれたことで、ボクの乗り位置は、なんとか乗り心地の良い高さに収まった。両足を女の子の腰のクビレに乗せて安定したいところだが、カナはまだ中学生のためか、女子中学生の身体には、腰のクビレやヒップの出っ張りのような、ポンキュッポンな女性体形が発達していない。なるほどね、こういうところが、まだ大人になれてない少女の身体なんだな、と、肌感覚で勉強になる。

 ボクは、カナとの会話を途切れさせないようにした。それは、彼女に、蒸し暑いという苦しさから気持ちを逸らさせるため。

「今回東京に出てきた目的は買い物とか?」「特にそういう目的はないです」

「イベントとか、なにか観に行くとかも?」「なんとなくぶらぶらと散歩して、

なにかおもしろいもの見つけたら立ち寄って、みたいな、、」

「ぶらぶら散歩なら、今のこの感じでいいわけだね」

「よくないです。男の人をおんぶなんて、重いし暑いし、もう降りてくださいな」

「降りるのはヤダよ」

「なんでですか?」

「おんぶしてもらってた方が楽ちんだし、女の子のおんぶって気持ちいいんだもん。それに、おんぶ上って目線がイイ感じで高いから眺めも良くてさ」

「あなたがそんなふうに、いい気持ちなんて言ってる下で女の子が重い重いって大変な思いしてるのわかってない・・」

「いや、わかってるよ。わかってるからこそ、男として嬉しいんだよ。カナのようなかわいい華奢な女の子が、ボクに楽させるために大汗かいて、おんぶしてくれてる。カナのその大変さは、乗ってるボクにもじわじわと伝わってくるから、こんなかわいい女の子がボクを気持ちよくさせるために・・、って思うと、男として幸せ」

  こんなふうに、女の子のおんぶに乗って、下で支えてくれてる女の子との、上と下での会話をボクは大好きだ。楽しく対等に会話しているようで、現実には、女の子にとっては、70キロの荷物を背負っての会話であり、ボクにとっては、女の子の上に乗っての楽ちん楽ちん会話、このような不平等さに萌えちゃうんよね。

「まったくもう、ひどいよー」

「いいじゃん、栃木から出てきて青春の思い出になる東京散歩、男の人おんぶして

歩き回ったんだよーって。あっズリオチしてるので、また跳ね上げてよ」

「ハイっ」

「うん、イイ感じイイ感じ。うまくなってきたね」

「はぁぁ、そうですか、、それよりも降りてほしいです」

「せっかく、おんぶうまくなってきたのに、ここで降りちゃ、もったいないし」

「暑いんですよ、汗びしょ濡れだし。お願いですから、一度休ませてくださいな」

「休んだ後またおんぶしてくれるって約束するなら、降りてあげていいよ」

「えっ、もうおんぶするのはムリ」

「じゃあ、降りてあげない。最後までこのまま歩け」

「えーっ、わかったわよ、またおんぶするから休ませてください」

 ボクは、カナのおんぶから降りてあげた。空身になったカナはふらふらになっていたので支えるように抱きしめると、綺麗な黒髪も汗でびしょ濡れになっていて、女の子は蒸し暑い雑踏の中で過酷な労働してたんだな、と改めて感じた。

 斜め前の店がたまたま空席あったので、アイスクリーム屋へ3人で入った。

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