第271話・蒸し暑い人混みでミニスカ女子のおんぶに乗った
梅雨の晴れ間となった日曜日、都区内の若者の街として有名な小道を歩き進んでゆくと、若くてキャピキャピの女の子たちの群れに押されるように流されるというか、流されもしない、ほとんど立ち止った状態で、それでも、ゆっくりゆっくりとは前へ進んではいる。その流れに押されているのならまだしも、もうここまで来てしまったら逆方向へ戻るのは難儀か、という状態。
いくら女の子大好きなボクとはいえ、この人混み状態は蒸し暑い。とは思いつつも、この通りを向こう側に抜けるしかない。道端に並ぶ甘い匂いのクレープ屋に入りたい気分にもならない。この小道に歩き進んでしまったことをちょっと後悔、6月の日差しは熱い・・。
自分の周りの女の子たちを見てみると、ほとんど顔ぶれに変化はなく、みんな同じ方向へゆっくりゆっくりと歩いていて、どこかの店へ入るというよりも、この雑踏の中を歩くことで、この街観光を味わっている感じかも。ボクの目の前を歩いている
ミニスカファッションにやや背の高い黒髪が綺麗な女の子も、ずーっとボクの目の前を歩いている。
ボクは、この人混み状態からちょっとでも快適に抜け出す方法として、前を歩く女の子におんぶしてもらうのがいい、とのナイスアイデアに辿り着いた。っていうか、いつものことじゃないかってか・・。いや、女の子におんぶフェチのボクも、さっきまでは、自分が楽したいがために、この混雑蒸し暑い中、女の子におんぶさせめことに躊躇してた。しかし、彼女たちは、この人混みの中を歩くことを観光目的にしてるんなら、おんぶくらいさせてもいいかなって。
目の前を歩くミニスカ黒髪女子に声をかける。
「すみません。おんぶしてもらっていいですか?」
「えっ、おんぶって・・、私があなたを、、ですか?」
「人混みが凄いんで、おんぶしてください」
「なんで、人混みすごいと、おんぶなんですか?」
「キミの上にボクが乘れば、歩いてる人が1人減ってスペースが空くわけで、その
連鎖でみんなが近くの人とおんぶペアを組めば、歩いてる人の数が半分になる」
「えっ、でも、男の人をおんぶなんて、、わたし、、」
その女の子の荷物とボクの荷物を隣を歩く連れの女の子に手渡し、
「じゃあ乗るよ」というと同時にボクは、目の前のミニスカ女子の背中に飛び乗る。
「えっ、ホントに乗ってくるんですか。重いですよ」と言いながらも、しっかりと
ボクの両足を女の子の細腕でホールドしてくれた。見た感じ、身長160くらいの高めの女の子と思って乗ったのだが、乗った感じは、予想よりもかなり小柄で華奢だった。たどたどしい歩き方と振動でわかったのだが、けっこうな上げ底靴を履いていたようで、女の子の身長は154以下だろうか。こんな小柄な女の子に乗ってしまったことには申し訳ない気もしたが、これも縁だよね。
乗り心地はそれほどよいおんぶではなかったが、華奢で小柄な女の子としては、
初めての男おんぶとしては、まあまあだったので、このまましばらく歩かせながら
教育してけば、良いおんぶをマスターしてくれそうではある。とりあえずは、上に
乗ってるボクとしては、おんぶ上の高い位置になれたことで、人混みの蒸し暑さから、首から上だけでも抜け出せたのは快適快適で、上げ底靴を履いてボクの位置を数センチでも高くしてくれてることに感謝だ。
女の子のおんぶに乗ってからも、人混みはなかなか動かずだが、高い目線からの
眺めには、まわりが混雑であるがゆえの優越感、蒸し暑い人混みから自分だけが抜け出してるお得感、乗って楽ちん快適させてもらってるボクのホンネとしては、
このまま女の子が一歩も進めず、ずーっとボクをおんぶして立ちとどまっててくれるんでもいいかなぁ、と。
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