第270話・自転車女子の背中に乗せてもらった爽快感

 ちょっとハンドル低めで、やや前傾の姿勢で自転車に乗って颯爽と走る女の子の

フォルムに萌えるんだよなぁ、と思いつつも、なかなかこの状況で女の子に声かけできるシチュエーションとならない、自転車女子はスーーッと行ってしまうから。

 そんなこと考えながら公園際の道を歩いていると、ボクの右わきからまたもや

スーッと自転車女子高生が走り抜け、ボクは走って行ってしまう女子高生の後ろ姿に悶々としていた。風にたなびくセミロングの髪がまたボクに、こんな女の子の背中に乗りたいというどうしようもない感情を高ぶらせ。

 するとなんとこの日は、その自転車女子高生が20メートルほど先の公園入口付近に、自転車にまたがったまま停まってるではないか。まるでボクに声かけされるのを待っているかのようなこのワンチャンス、ボクはあわてて走り寄る、このワンチャンを逃すまいと。どうも、そこで友達の女子高生2人と出っくわしたので立ち話をしているようだった。

 いきなり走り寄ってきたボクを怪訝そうに見つめる3人の女の子。もうこうなってしまっては、単刀直入正直に言うしかない。

「元気に爽やかに自転車で走る女の子を見たら乗りたくなっちゃった」

「自転車に乗りたいってこと?」と言い、女の子は自転車から降りようとしたので

「いや、降りないで。自転車にこうして乗ってる女の子がかわいいの」

「えっ、2人乗りしたいってこと?」

「うん、そうそう。ボクを乗せて公園の周りを1~2周してくれる?」

「うん、いいよ」

「ありがとう、乗るよ」と言いながら、ボクは、自転車に跨ってる爽やか女子高生の背中の上に跨るように飛び乗る。女子高生は戸惑ったような対応で

「えーーっ? 私の上に乗るんじゃなくて、自転車の荷台に乗ってくださいよー」

「ボクは、この前かがみ姿勢の女の子に乗りたいんであって、自転車に乗りたいわけじゃないもん。これでも自転車こげるでしょ?」

「うん、やってみる、でも重いよー。重いからお尻痛くなりそう」と言いながらも、自転車をこぎ始めてくれる。こういうとこ、元気にチャレンジ精神旺盛なところが、若い女の子ってのは、いいキラキラ感だよね。

 女の子の背中に乗った状態での自転車2人乗りは爽快感と同時に優越感とお得感で最高すぎる。時折り揺れる段差とかでの振動で自転車はガタゴトと強く揺れるものの、ボクのお尻は女子高生の柔らかい身体の上なので、ほどよい緩やかな優しい揺れで大切に包まれてる感じ。ボクのためにクッション役になってくれてる女の子はお尻痛かったかもしれないよね。そんなふうに、女の子に優しく守られてる幸せ。

 ただ、乗ってる感じとしては、一生懸命に自転車のペダルをこぐ女の子の身体は常に左右に揺れているわけで、その上に乗ってるボクはバランスとるのが実はけっこう大変で、両手で女の子の両肩にしがみついちゃってる感も。

 とはいえ、この左右に揺れる女の子の身体の動きは、華奢な女の子がボクの幸せのために頑張ってくれてる感でもあり、ボクのために尽くしてくれてる女の子の身体を味わうという満たされた心地。

 自分はこいでないのに、女の子がボクを乗せてこいでくれてることで走る自転車上、受ける向かい風の爽快感、女の子の身体の左右揺れは、女の子がボクの代わりにペダルをこいでくれてる証で、頑張る女の子に乗りたいフェチのボクは、女の子が頑張って身体のいろいろな箇所を動かしてくれてるのを、乗ってる側の肌感覚として楽しめる幸福感。自転車は止まると倒れちゃうので走り続けなければならず、爽やか女子高生はペダルをこぎ続けてくれる。公園1周は意外と長い。「もう1周ね」

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