第268話・ワガママ女子がおんぶガールになってくれた
細身の女の子アヤカのおんぶに乗りながら、ボクは、隣を歩く友人ちゃんに話しかけていて、チョー楽しくなってしまった。女の子に自分の全体重70キロを背負わせて黙々と歩かせてる上で、他の女の子とキャッキャトークって、女の子大好きボクとしてはギャルギャル天国この上ない。
「名前なんていうの? ボクはクロ」
「ミクよ。クロさんは、なんでアヤカをおんぶガールにして乗ってんの?」
「自分の足で歩くより、女の子におんぶしてもらった方が、楽ちんだし。女の子の
おんぶって気持ちいいんだぁ。乗ってる感触の気持ち良さもそうだし、おんぶで高い目線から景色を楽しめるのも気持ちいい」
「でも、男の人をおんぶさせられてる女の子は重くて大変なんでは?」
「うん、おんぶガールは大変だと思うよ」
「女の子に大変な思いさせて歩かせてる上で、楽ちんだ気持ちいいっていうのが、
クロさんは幸せなの?」
「うん。女の子が大変な思いしてボクを幸せにしてくれてるって思うと、そりゃもうびんびんに感じちゃうよー」
「それにしても、人に尽くすことなんて、ありえない、というワガママ性格のアヤカをよくここまで手なずけたもんですよ。他の女の子なら、おんぶガールなんかさせられてかわいそうって思っちゃうところ、アヤカがこんなに奴隷のように従ってるのって、女友達という視線からみても、なんかエロスを感じちゃうわ」
ボクとミクのそんな楽し気な会話は、ボクをおんぶして歩いてるアヤカにも聞こえているのだろうか。距離的には聞こえてると思うが、脳の情報処理能力が追い付いてなかったようでもある、なんせ、アヤカはボクのおんぶガールとして、重労働の
真っ最中なわけで・・。
「おい、アヤカ、俺の身体がズリオチしてるぞ。いい高さに跳ね上げてくれよな」
「はい」と答えると、アヤカは腰を使ってボクの身体を一発で、乗り心地のよい位置まで上げてくれた。
「ほぉぉぉー、うまくなったなぁ、最初にやったときは3回でなんとかだったのに、今回は一発で上げたねぇ」
「はい」とかすれるような声でアヤカ。
「凄い・・・凄いよー、アヤカがここまで人に奉仕するってぇ。私もこんなアヤカのおんぶに乗りたくなってきちゃったー」とミクがキャッキャしながら言う。
「ダメだよ、アヤカはボクの専用のおんぶガールなんだから」
「えっそうなの?? アヤカ。男のクロさんより私のほうが軽くて楽だよ」
「ダメだよ、ボクはアヤカのおんぶから降りないからね。アヤカ走れ走れ、ミクから逃げろ」と言うも、駅からボクをおんぶして歩き続けてる女の子が走れるわけもなく、ミクに引っ張られて、ボクはおんぶから降ろされてしまった。
アヤカは70キロの荷物からやっと解放されたのも束の間、ミクに飛び乗られてしまうが、へろへろのアヤカは崩れ落ちてしまう。
「ボクの大切なかわいいおんぶガールを怪我させちゃダメだよ」とボク。
「そういう仲なの?」とミク。
「違うのよ」とアヤカ。
「アヤカ~、乗るよー」と彼女の背中側からボク。
「こんなへろへろの女の子のおんぶにまだ乗る気なんですか? ミクに乗ってくださいよ」と泣きそうな声で言うも、アヤカは抵抗も逃げもしない、てかできないのか。
そんな抵抗力もなくなってる細い女の子に乗るのは、かわいそうかな、という気もしたが、目の前に無抵抗で立つアヤカの色気には勝てず、ボクは、アヤカのおんぶに飛び乗った。しかしさすがに崩れてしゃがみ込んでしまい、しゃがみ込んで女の子の上にドスンと落ちる感じで、かわいそうなことをしてしまった。
「アヤカがバテちゃったからミクのおんぶに乗るなんていう浮気はボクしないよ。
ボクは最後までアヤカのおんぶにしか乗らないから、ちょっと休んで元気になったらでいいんで、また・・」
「えーーっ、休んだあとまた、おんぶなんですか?」
「うん、おんぶガールだからね、アヤカはボクの」
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