第267話・おんぶ上から命令口調して女の子に奴隷心を

 昨今街中では、ステキなお姫様衣装なのに、背中にデイパックを背負っていて、

女性としての後ろ姿の魅力を台無しにしているファッションの若い女の子の姿が目に付く。そんな彼女たちには、女性の色気は後ろ姿なんだよ、と教えてあげたい心もあるのだが、そんなお節介なんか、変な人と警戒されるだけ、どうせ変な人扱いされるんなら、ということで、駅の改札付近で、待ち合わせをしてるっぽい、白系ひらひらドレスの細身の女の子に声を掛けてみた。

 その女性は、姿勢良くキリリッとしてればなかなかの高級感な綺麗な女の子なのだが、黒いデイパックを重そうに背負っているためか、かなりの前傾姿勢で猫背になっちゃってる。ステキな女性なのにこれは勿体ない。。

「いつも荷物は背中に背負ってるのですか? キミのようなスタイル素敵な女性は、

荷物背負って姿勢が悪くなってるの勿体ない。背筋を伸ばすとかなりステキな女性だと、ボクの目にはわかるんですよ」

「あっはい。。でも私いつもデイパックばかりなもんで」

「背負うほうが楽だから?」

「はい、重い荷物でも背負えば・・」

「ちょっと、デイパックを胸側へ前にしてみて・・」

「はい、こうですか?」

「そうそう、ほら、背負ってるときよりは背筋がピンとしてきてる」

「ハイ、でも・・・」

「後ろ姿がすごくステキで」

「どうステキなんですか?」

「男心を刺激するんですよ、こんな女性におんぶしてもらいたいなぁ、って」

「えっ? おんぶって??」

「してみますか? じゃあ乗りますよ」

「えっ?乗りますって、私が??・・」

「重い荷物でも背負うんなら楽って言ってたじゃん」

「ハイ、でも男の人をおんぶだなんて・・」

 胸がわにデイパックをぶら下げている女の子の背中に、ボクは飛び乗ると、女の子は前傾にはならず、その良い姿勢のままボクの体重を支えてくれつつも、細い彼女にとっては、ボクの70キロはかなり重かったのか、両腕でボクの両足をホールドするポイントがうまくいかず、ボクの身体がズリオチする感じになってしまった。これでは両手でぶら下がる感じになってしまうボクも疲れるので

「ズリオチさせないように、ポンと跳ね上げて」と指示。

 女の子は、腰を使って頑張ってボクの身体を跳ね上げてくりたが、非力なためか、乗り心地の良い位置まで上がらないので

「もう一回やって」と指示。

「ハイ」と言ってもう一回跳ね上げてくれたが、まだ低い。

「もう一回」

「ハイ」

「うん、この位置ならいいね。乗り心地いいよ」

「はい。でももうキツいんで、手も痛いんで降りてもらってもいいですか?」

「なに言ってんだよ。せっかくナイスなおんぶになったんだから、ちょっとそこらへん歩いてみてくれよ。ズリオチさせないでね」

「重くて、歩くなんて・・。だいたいなんで、あなたは私のおんぶに乗ってるんですか? 私おんぶするなんて一言も言ってないです」

「いいから、2~3歩でいいから、とりあえず歩いてみ」

「ハイ」と言って、女の子は歩き始める。

「歩けるじゃないか。そのまま止まらず歩いてみて」

「はい、でも・・」

「ほら、ズリオチしてきたぞ、ポンと跳ね上げて」

「ハイ」

「うんうん、なかなかいいおんぶになってきたぞ。姿勢も前傾になってなくて、なかなかいい感じだ」

「私なんでこんなことしてんだろ」

「そんなこと考えないで、歩け歩け。やればできるもんだろ」

 こんな感じで、ボクは徐々に上から目線の命令口調にしてゆき、女の子が、自分は今上に乗ってるこの男の人の命令に従う役目なんだという奴隷精神を植え付けられてゆく過程に萌える。こうして、女の子のおんぶ上で萌え萌え気分になっているところに、女の子の待ち合わせ友達が合流し

「アヤカ、男の人おんぶなんかして、なにやってんの?」と驚き顔。

おんぶでへろへろになってるアヤカはすぐに答えられなかったので

「アヤカはボクのおんぶガールになってくれることになったんですよ」とボクから

説明した。

「おんぶガール?? すごいよアヤカ」と友人ちゃん。

「2人でどこ行く予定なの? ボクもおんぶガールに乗ったままくっついてっていいかなあ?」

「うんいいよ、行くとこ決めてないし。おんぶガールなんて、おもしろすぎるー」とスマホで撮影を始めている。

「じゃあそこらへん散歩しながら決めよう」とボクはアヤカのおんぶ上から脳天気に提案。アヤカはもうかなりバテバテのへろへろだったようで、反論する余裕もないようで、ボクをおんぶしたまま歩き始めてくれた。

「ズリオチしてきたから跳ね上げて、アヤカ」

「はいっ」

「へーーっ、あのアヤカが、こんな従順なおんぶガールとはねぇ」

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