第253話・ボランティア活動の女子大生のおんぶに乗る

 大学にはボランティア活動をするサークル活動があり、子供の遊び相手をしたりなどの活動をしているとのこと。友人からの紹介で、そんな活動の場へ行ってみると、女子大生たちが、公園で、子供たちの遊び相手をしていた。

 そこで知り合った身長167くらいあるとおもわれる大学1年生の、あかねちゃんに訊いてみた。「アカネちゃん、ボクをおんぶしてくれる?」

「えっ? うん、いいよ」と。

 体格大き目の女の子なので、ボクは安心して、アカネの背中に飛び乗る。しかしすぐに、乗ってるボクの身体のずり落ちが始まってしまった。ボクの飛び乗り位置が低すぎたのだろうか、今までの経験からすると、体格大き目の女のおんぶでは

ズリオチあまりしないのだが・・、ボクの乗り方が悪いのだろうか?

「ちょっとボクの身体を高い位置に跳ね上げてみて」

あかねちゃんは腰を使ってポンと跳ね上げてくれたのだが、前傾姿勢になってしまったので、あまりうまい位置に上がらない。

「上半身を前かがみにしないで起こしてみて」と言ってみるものの、一度、前かがみになってしまっていると、なかなかうまく起こせないようだ。それは、上に乗ってるボクも前傾になってしまっているから。なのでボクは自分の身体だけでも起こしてみるのだが、こうすると、アカネが両手でボクの両足を支えているポイントがズリオチしてしまった。

 一度ボクは、アカネのおんぶから降りて、乗りなおすことにした。このときに、アカネの上半身を前傾させずに起こしておくことが大事。

「前傾姿勢にはないで。。そうそうその姿勢でキープね」と言いながら、ボクは飛び乗りではなく、椅子の上からゆっくりと覆いかぶさるように、アカネの背中に乗る。そうすると、ボクの乗り位置を高いポイントにキープした「良いおんぶ」になった。

「そうそうこの感じがいいよ。これだと乗ってるボクとしては乗り心地よくて楽なんだ。アカネにとっても、この方がさっきのズリオチおんぶよりも楽でしょ」

「うん、たしかにさっきよりは楽にはなったけど、おんぶしてること自体で、もうけっこう疲れてきたし」

「疲れてきても、このおんぶなら歩き回れるよ。歩いて歩いて・・」

 公園では、ボランティア部の他の女子大生たちが、子供たちをおんぶして、やや

速足で、追いかけっこのようにくるくると歩き回っている。アカネにもその輪の中に入るように促す。

 他の女の子たちは10キロそこそこの子供をおんぶしてる中で、ボクをおんぶしてるアカネだけは70キロのおんぶだ。そんな具合に、ボクは、1人の女の子だけに不平等に負担させてる状況に萌える。ボクはアカネの上から

「ほれほれっ、アカネ負けるな、走れ。もっと速く走らないと、子供たちに追いつかれるぞ」と脳天気な命令口調で言う。

 他の女の子に乗ってる子供たちは、大人なのにおんぶしてもらってるボクの姿に大喜びで笑ってる。ボランティアの女の子たちの最も大切な目的は、子供が喜んで楽しんでくれることだから、今のこの、おんぶ追いかけっこは活動として成功だ。

 アカネは、かなりくたくたに疲れてきたようなパタパタ走りになってきたが、

「子供たちが喜んでるぞ、アカネ、もっと走り続けて」と言うと、頑張って走ってくれるものの、だんだんと前傾姿勢になってきてしまった。

「アカネ、前傾姿勢になってきたから、もう一度、乗りなおすぞ」

「えーっ、もうおんぶ疲れたから・・」

「乗りなおして高い位置のおんぶにすれば、疲れてても走れるよ」と言いながら、ボクは一度おんぶから降りて、乗りなおした。

「さあ、子供たちの輪に入ろう、、」

「私だけこんなに重いおんぶ、疲れてるのにぃぃ」と言いながらも、アカネは子供たちのワイワイキャッキャッに誘われて歩き始めてくれた。子供の声はボクにとっても天使の声だぁぁぁ。







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