第237話・乗り心地いいおんぶの女性に走ってもらった

「いい感じってどういうことよー。おんぶで歩かされてる私は大変なのに・・」

「おんぶしてくれてる女性が大変なのは、申し訳ないです。でも今のこの颯爽とした歩き方にしてもらってから、乗り心地の気持ち良さというか爽快感がすごく良くなってるんですよ」

「上に乘ってる男は、気持ちいいとか呑気なこと言ってるけど、こっちは・・」

「速いテンポで歩いてくれてるほうが、一歩一歩の振動でボクの身体が跳ね上がるから、ボクの身体がズリオチしないんで、乗り心地が楽なんですよ」

 おんぶしてもらってるボクの立場からすると、高い位置にキープおんぶしてもらえてるほうが乗り心地がいい。こんな風に言うと、乘ってる側の身勝手な楽ちん追求のために女性に重労働を強いていると思われるかもだが、乘ってるボクがズリオチ態勢にならないほうが、おんぶしてる女の子も楽なんじゃないかな。

「キミの名前教えてよ、ニックネームでもいいから。ボクはクロ」

「なんでいきなり名前を?」

「こんな素敵なおんぶしてくれてる女の子の名前も知らないなんて失礼かなと」

「ユリコよ」

「よしっユリコっ・・走ってみて」

「なによいきなり呼び捨てで。。おんぶさせたうえに走れって、なんでそんなこと言えるの、信じられないっ」

「ユリコなら走れるよ、走って走って」

「なんでこんなことを私・・」

って言いながらも、ユリコは走り始めてくれた。カツッカツッという走る一歩一歩の振動が強く伝わってくるのが、高級馬を乗りこなしてるみたいで、たまらない。靴音が大きいのは、あっそっかー、ユリコは5センチとはいえ、ハイヒール女性だったんだ。ハイヒール女性のおんぶに乘って走らせてることに罪の意識も感じたが、女性にこんなこと頼んでもいいんだーやってくれるんだーという感慨深さ。

 おんぶで走ってもらう爽快感は、ボクのために運動してくれてる女性の身体の躍動を密着してる全身で感じられる上に、向かい風を顔に感じる涼しさもある。2月の寒い空気が頬に当たるのを心地良いと感じるのは、おんぶで走ってくれてる女の子の

身体が熱くなってるポカポカを感じれてるからだろうか。特にボクの股間はポッカポカに暖かい、ユリコの背中に密着して揺さぶられてんだもんーーそりゃねぇ。。

 そんな乗り心地の極上感に加えて素晴らしいのが、165センチの女性のおんぶ上からの・・高い視点からの眺めだ。ふだんから見慣れた街の景色その中でも往来する人々をいつもより50センチほど高いところから眺められるって、こんなに気分爽快というか優越感というか。

 この優越感は高さからではなく、こんなにイイ女に乘って走らせてるんだぜ、っていうほうでの優越感なんだけどね。女性のロングヘアーが風にたなびいてボクの喉元にまとわりつく感触も、イイ女に今自分は乗ってるんだよなぁ感。ユリコがある程度以上のスピードで走ってくれてるからこその感触、髪が風でたなびくって、けっこうなスピード出してくれてるってことだろうか。ボクは試しに言ってみた。

「ユリコっ、もっと速く走れっ」

するとなんとユリコはさらに加速してくれた。ボクは揺れるユリコの背中にしがみつく感じで、両足に力を入れてユリコの腰のクビレを挟む。しかしここで走り尽きてしまったが、それは仕方ないよね。70キロの男をおんぶして全力疾走してくれたんだから。

「ありがとう。ユリコ、気持ちよかったよー」

立ち止ったユリコは顔から大汗が出ていて首筋もびしょ濡れになっていた。

「もう限界ぃぃ。私の上から降りてください」

「あっそうだそうだ、ユリコにけっこう長い時間、乗りっぱなしだったゴメン」

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