第226話・おんぶも抱っこもしてくれた女性の吐息に萌え

 ベンチに到着してしまったので、ボクは約束通りにおんぶから降りると、女性は

「もう、汗かいちゃったわよー」と言いながら、ダウンジャケットの前側ファスナーを開けると、そのときの顔を斜めにして髪が前に垂れた仕草に、ボクはものすごい

色気を感じてしまい、自分のこの瞬間的な萌え沸点に自分でもびっくり。

 ボクは、半ば押し倒すように女性をベンチに座らせてしまい、叱られるかと思い

「あっ、すみません、また貴女の仕草に色気を感じて冷静さを失ってしまい」

「えーーーっ、私のどこに、そんないわれるほどの色気が?」

「首を微妙にかしげたときの吐息の暖かさを感じさせる唇の感じと、髪の質感というかウェーブの柔らかさの合作というか。だけど全身のスタイルバランスともあいまってて、この寒々しい公園の中で貴女だけが暖かい、を感じさせる・・言葉で説明しても伝わらないですよね。でも唯一無二なんですよ」

 そんな言葉を浴びせかけながら、ボクは、女性の太ももの上に横向きに座った。

「わたしの上に勝手に座らないでください」

「ええっ、遠回しに、貴女の上に座りたい、って言ったつもりだったのに」

「どこにそんな言葉が? 言ってないわよ」

 ファスナーを開けた胸元にボクは自分の頬を寄せて

「吐息があったかい・・」と囁きながら、彼女の喉元にキスをしてみた。

「ちょっとー、わたしの言うこと無視しないでよ。重いからどいてください」

「せっかく2人でこうしてくっつきあってて暖かいのに、この状態から離れると、

寒さ冷たさを一段と感じるから、離れるのヤダ」

「ヤダじゃないでしょ。あなたいま、女性の上に勝手に乗っかってるのよ」

「やっぱり乗っかってちゃダメですか?」

「だいたいなによ、へんじゃないですか。私の色気の素を見つけたいとかっていうのが始まりでしょ。でそれはなんだったのよ」

「冬の寒々しい景色の中の暖かみと柔らかさというギャップ萌えなのかな」

「それより、もう重いからどいてよ」

「ハイ、すいません、わかりました、どきますよ。でもボクがどくと寒いですよ」

 ボクが彼女の上がどくと、彼女は立ち上がって、ダウンジャケットのファスナーを閉めた。

「やっぱり寒いでしょ?」

「さっきのおんぶで汗かいちゃったから、汗が冷えて。風邪なんかひいたら、どうしてくれるのよ」

「身体冷やさないように運動したほうがいいかもね」と言うと同時に、ボクは、女性のおんぶにまた飛び乗る。女性は初回ほどはよろけず、安定したなかなかよいおんぶをしてくれ・・「なんでこうなるのよ・・、でもたしかに寒さは吹き飛んだかも」と言いつつ、2~3歩は歩いてくれたものの

「だけどやっぱり、あなたをおんぶして歩く気にはなれないわ、おりて」と。

ボクは素直におりて「ありがとう、暖かみのあるひとときをホントにありがとね。あと、汗までかかせちゃって、ごめんなさい。貴女の色気の素も身体全体で感じることができて。。華奢な女の子なのにおんぶが最高、、、そういうとこにある色気の素、ダウンジャケットで覆われていても、外に出てる。おんぶしてもらってボクの全体重で密着するまえから、こんな女の子に密着させてもらえたら気持ちいいだろうなとの魅力を察知してしまったボクの感性って、女性のがわからすると気持ち悪いかもですね。にもかかわらず、しあわせなひとときをありがと」

「・・・・・」

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