第223話・おんぶしてくれた女の子の嫉妬心を煽る抱っこ

 朝になって目覚めると、寝入ったときにはボクの上にミユキが乗っかっていたはずなのに、朝には上下逆転していて、ボクがミユキの上にうつぶせに乗っかって寝ていた。ボクはうつぶせに寝るとよだれが出てしまうため、ミユキの胸から首元にかけて、ボクのよだれでびしょ濡れにしてしまったのが申し訳ない。それもあるけど、

ボクに全体重を乗せられたままで、ミユキは苦しくなかったのだろうか、ミユキは

眠れたのだろうか。

 そんなことを考えていると、もう朝の動きをテキパキと始めているマスミから

「あなたたち、私のベッドで、あんなことまでして、ひどいよー。寝てる振りしてたけど、全部わかってるんだからね、もう。。ミユキあんな大胆なことを、もうイヤ」

「ごめんなさい、ボクが強要したんです。ミユキちゃんは、やりたくなかったのに。ミユキちゃんとマスミちゃんで喧嘩しないで。悪いのはすべてボクなんだから」

 とりあえず2人の喧嘩には発展せず静かに収まったので、ボクはマスミにホンネを訊いてみた。

「あのー、マスミのほうに訊きたいんだけど。。。ボクが、おんぶにしても、ベッドの中でのことにしても、負担を2人平等にでなく、ミユキばかりに負担を求めていたこと、マスミとしては、どう感じたんですか?  負担が自分の方にこなくてラッキーって思いましたか? それともボクがミユキばかりに乘ったりしてることに、ずるいとかそういう不公平感的な不快感でしたか?」

「それは、ミユキにばっかり、っていう気持ちはあったし。でも、おんぶさせられるのは自分じゃなくてよかったと」

「もしボクが、マスミちゃん大好き、おんぶしてって言って、マスミにばかりおんぶで乗ろうとしたら、おんぶしてくれましたか?」

「おんぶさせられるのが、私ばかりなんて、絶対イヤ」

「そこんとこの差なのかも」

「どういうこと?」

「絶対イヤというマスミと違って、ミユキはイヤなことでも頼られちゃうと断れない。それをボクの女の子大好き本能が見分けたんだとおもう」

「私だって断ったのに、乘ってくるんだもん」

「乗られちゃったら仕方ないかって、70キロの男をおんぶしてでも歩き始めちゃう

女の子がミユキ。マスミだったら振り落とすでしょ」

「そうね、振り落とす」とマスミ。

 そんなこんなでワイワイ雑談は盛り上がって、3人仲良くなった。雰囲気が良くなってきたので、ボクはフロアーから立ち上がって移動し、キッチンに近いがわのフロアーに座ってるマスミの太ももの上に座ってから「マスミ、抱っこして」と。

「なんで私の上に座るのよー」

「だって、床は堅くて冷たいんだもん。マスミの抱っこは柔らかくて暖かいから、

ここがいい」

「なにワガママ言ってんのよ。私はその冷たくて堅い床に座ってんのよ」

「うんそうだよね、ありがと。ここ座り心地いい。気持ちいいよ、ありがと。ここがいい、女の子の抱っこって大好きぃ」

「ここがいいじゃないでしょ。人の身体を座椅子みたいに・・」

 喋りまくるマスミの唇にボクはキスをした。

「なによ、、いきなり私の唇を。ミユキに抱っこしてもらいなさいよ」

「ミユキに嫉妬させたいんで、マスミがボクをこのままキューッと抱きしめて」

「わたし、嫉妬なんかしないわよ」とミユキは笑う。

「えーっ、ミユキが嫉妬してくれるまで、ボクはマスミの上からどかないから」

「なによそれーっこんな重たいのに乗られていたくないわよ」

「だから、マスミはボクを愛情いっぱいに抱きしめてよ・・」

「だからじゃないでしょ」

 こんな感じでボクはマスミの暖かくつつみこむような座椅子の座り心地に、実は感じ始めていた。もし可能なら、マスミに抱っこされてる状態で、ミユキにおクチで

やってもらいたいが、そんなこと頼んではいけないと、さすがのボクもブレーキをかけた。少なくとも初回である今回は、やめとこう。もし2 度目があったら、そのときには・・・

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