第179話・お尻に暖かみの残像感じるおんぶレディー
清楚なベージュ女性とボクは、停留所で、ドタドタと、バスから降りてしまったが、ここは彼女にとってもボクにとっても目的地ではない、そのことが、なんともいえない、もうすでに、彼女はボクの欲望を受け留めてくれることにオーケーしてくれそうだな、という勝手な解釈を推進させるに十分な・・・。
ボクを太ももの上に抱っこしてバスシートに20分ほど揺られていたせいで、彼女は足が痛くなったか痺れてしまったかもしれない。そういうタイミングゆえ、ボクの誘いに応じて一緒に途中下車してくれたのだろうか。だとしたら、ボクの70キロという重みが生み出したタイミング一致。
「重いのに抱っこしてくれてて、すみませんでした。足痛いとか疲れてますか? 歩けますか?」と訊くと「歩くのは大丈夫です。それより、こんなところでバスを降りることになってしまってなぜですか?」
「足が大丈夫なら、ひとつ、お願いがあるんです」
「なんで、私が、あなたのお願いのために・・・」
「あんな気持ちのいい抱っこしてくれたことで、ボクの心は、女性としての優しさ
暖かさ優しさを兼ね備えた貴女の魅力にトロけちゃったんです」
「気持ちのいい抱っこって。。私はただ乗られていただけで重くて苦しかっただけよ。優しいなんて気持ちでではないわよ」
「そこがいいんですよ。イヤイヤ仕方なしにだったのに、あんなに気持ちよくしてくれちゃえる、そこが貴女という女性の素敵なところ」
「そんなに気持ちよかったんですか?」
「で、お願いなんですが、、ボクをおんぶしてください」
「ええっ? 私があなたをおんぶ? 逆じゃなくって?」
「逆じゃないです。女性の貴女に、男のボクが乗りたいんです」
ボクは、その言葉と同時に、女性の両肩に手を掛けて、背中に飛び乗り、両足で彼女の腰のクビレを挟むよように力を入れると、想定していた以上に安定したおんぶの乗り心地を得ることができて、今日のこのページュ女性は、おんぶガールとして最高だ、という幸せな感触。おんぶガールというより、おんぶレディーかな。
「おんぶしてあげるなんて言ってないのに、いきなり乗ってきて・・重いです」
「言葉では、おんぶしてあげるといってないけど、貴女の身体のこの魅力的なラインは、ボクの、こんな女性のおんぶに乗りたい心を刺激しまくり。つまり、貴女の身体は、ボクに、乗って乗ってぇ、ワタシに乗ってぇと誘惑してるよ」
バスの座席の上では、ボクは女性の太ももの上に抱っこしてもらってて、今は背中におんぶしてもらえてる。こんな清楚で上品なレディーの身体に前からも後ろからも乗っかって。数分前まで太ももの上に座らせてもらっていた、その感触、自分の尻にそのとき感じてた暖かみを思い返しながら、今は彼女の背中に乗ってる、というお得感たるや、まさに「女性におんぶに抱っこ」。
この小説には何度も書いてるように「おんぶに抱っこ」をボクは何人も経験してきているのに、なぜ今回のこのベージュ女性には、暖かみの残像をこれほどまでに感じてしまうのだろうか。それは、彼女の上に座らせてもらえるまでのチラ見チラ見による妄想時間の長さかもしれない。
「もう、おんぶ終わりにしますよ」という女性の声で、ボクは現実に戻った。
「まだ、おんぶ終わりにしないでよ。せっかく、おんぶしてもらってんだから、歩いてほしい。歩けるでしょ、あそこの公園の入り口まででいいから歩いてみて」
「なんで、私こんなところで男の人おんぶして歩かされてるんだろ」といいながらも、女性は、その方向へ歩き出してくれた。
この「甘えられて頼まれたら、イヤでもこんな重労働もしてしまう」という女性の優しさの本能に触れた瞬間が、おんぶにはある。「疲れたから、おんぶ終わりにしたい」と言ってきた女性に「終わりなんてイヤだ」とワガママ言って、その時点から歩かせて、その揺れを感じるその「疲れたところで」の揺れにこそ、上品なおんぶレディーの母性的な優しさ柔らかさ暖かさ・・、ごめんなさい、ありがとう。
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