第30話・スタイル抜群女性におんぶ頼んでみた

 なにかのイベントか集まりの帰りであろうか。スタイル抜群でファッショナブルな長身女性数人が同じ方向へ広めの歩道を歩いている後ろ姿を見かけた。その中の3人組らしきにボクの目は止まった。

「すみません、あまりにもスタイル良すぎる女性なんで、ついつい声かけちゃいました。みんながみんなスタイル良いんで、男としては・・」

「ありがとう。いま駅へ向かってて、つぎの用件あるんでごめんなさいね」

「あっ、歩きながらでいいんです」

「わかったわ、積極的な人ね」

「はい、あの。。ボクをおんぶしてください」

「ハッ、おんぶ?」

「あまりにもスタイル良いんで。こんなスタイル良い女性に、ぜひ、おんぶしてもらいたいっで感じてしまって」

 ボクの話し相手をしてくれていた女の子が

「男の人をおんぶなんてしたことないよ。おんぶしてあげると言われたことはあるけど」と返してくれたので、ボクは、この子に決めた。

「やってみようよ。ボクもキミみたいなスタイル抜群女性におんぶしてもらったことないんで。じゃあ乗るよ」とボクの両手を彼女の両肩に乗せると、彼女は「えっ」と

戸惑いながらも身構えてくれたので、ボクは飛び乗った。

「ええっっ、やっぱ男は重いよ~」

「うわー、やつぱり、乗り心地最高、気持ちいい」

 スタイル良い女の子のおんぶは、ボクの両足と女の子の腰のクビレのフィット感が、たまらなく乗り心地良い。女の子の背の高さは165くらいだろうか。このくらい長身の女性だと、上に乗ってるボクの顔の目の前近いとこに女の子の髪がくるので、

女の子の髪クンクンするのが好きなボクには、これまた極上のおんぶなのだ。

 自分はこんなにイイ女に乗ってるんだ、こんなイイ女がボクを幸せにするために重労働してくれてるんだ、という「こんなにイイ女」というブランドによる感情高揚は大きい。

 まわりに目を向けると周囲には、スタイル抜群女の子数人が歩いてるのを、やや高い目線から見下ろせるのが、これまた特等席。スタイリッシュな女性は、歩き方もスタイリッシュで、コツコツ歩くその振動も美しくボクの性感を刺激する。

 女の子は「いろんな女性におんぶしてもらってんの?」と。ボクは

「そうだね、いろんな子に乗ってきた。キミはスタイル抜群部門の最高峰だよ」

「もういいでしょ、おろすよ。顔に汗かいちゃってメイクが崩れちゃう」と。

ボクは

「まだおろさないで。駅の入り口まででいいから、おんぶで行ってほしい」

「駅までって・・・」

 駅前のスクランブル交差点に到達したところで、信号が赤になり立ち止まると、

女の子は「信号待ちのあいだ、乗ってる気?」

ボクは「うん」と。

女の子は「簡単に、うん、なんていうけど、こっちは大変なのよ」

 スクランブル交差点の赤信号は長かったので、この時間をこんなイイ女のおんぶで過ごせたことは、最高のお得感だった。そして歩行者信号が青になったので、ボクは

「青になったよ」と上から促し、女の子を歩かせた。こんなイイ女が、ボクの促し通りに動いてくれてることに萌えてしまった。

 駅に着いたので、降りてあげたが、女の子はちょっとふらふらっとしながらも、すぐにキリッと立ち上がった。この、弱みをを見せない生き様が素敵な女性だ。

「極上の良いおんぶだったよ、ありがとう」


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