第28話・大阪の女の子におんぶ頼んでみた
旅先で出会って連絡先交換をしたアイカちゃんは大阪府堺市に住んでいて、ボクは仕事での大阪出張の用件終了後に、会ってもらえことになった。アイカちゃんは、ボクに対して「性的なことはしないでよ、という条件つきよ、キスとかもダメよ」と明確に線引きしてきた。それはまあ、仕方ない、旅先で出会ったときに、同じ部屋に宿泊はしていないものの、ボクはいろいろなことをしようとして、そのたびに彼女にビシッと叱られる、という前科があったので。
堺市の某駅でアイカと合流。徒歩数分のところの居酒屋に入ったが、2人とも
それほど酒を飲むわけでもなく1時間くらいで出た。はっきりしてるアイカは
「最初に言っておくけど私の部屋には泊まらせないからね」と。
ボクは素直に
「うん」と頷いてから
「手つないでもらっていい?」と求めると
「手つなぐくらいならいいよ」と。
「このあと、どこに行く?」
「もう一軒いこうか」
ボクは、アイカの手を握ってドキドキしてきてしまいてに汗かいてしまった。
「汗かいちゃっててゴメン」
「いいよ、でもなんで汗がそんなに」
「アイカに手つないでもらえてドギドキ緊張しちゃって」
「女の子にすぐドキドキしちゃう、これだからクロ(ボクのこと)は危なくて泊められないのよ」
「うん、泊まりに行くのは我慢するから、もうひとつ、お願い事あるんだ、キスとかじゃないから・・」
「なによ」
「おんぶして」
「えっ、おんぶ??」
「うん」というと同時に「お願いします」と言ってボクはアイカに飛び乗ると、
アイカは「なによ、これ・・」と不満げにいいながらも支えてくれた。
「アイカがおんぶしてくれて、うれしい・・」
ボクは今回、アイカのおんぶに乗ることに賭けて、自分の荷物を最小限にするため、仕事終了後大き目の荷物は宅配便でコンビニから東京の自宅に送ってから境へ来たのだった。
アイカのおんぶは、お互いの身体のサイズ的なフィット感が良くて気持ちよかった。スレンダー女子ではないぶん、身体全体の柔らかみが、包みこまれてるようで、気持ちよいというか、なぜか高級感というかお得感を強く感じた。なぜだろうか、お得感をより強く感じたのが不思議な乗り心地だった。
女の子のおんぶは、こういうふうにみんなわかりやすい個性差があるのが、たまらない。それは、女の子が華奢な身体で、重い男を背負って歩くという体力限界的な頑張りをするから、個性差が、わかりやすい形で出るのだろう。
「アイカありがとう、すごく気持ちいい。アイカが歩いてくれてる一歩一歩の振動がビンビンに感じるんだ。女の子のおんぶって、なんでこんなに気持ちいいんだろ」
うっとりしながらボクは言葉をつづけた。
「重くない?」
「重いに決まってんでしょ、もう下すよ」
「あっダメ、おろさないで」とお願いしたのに、おろされてしまった。
ボクは「もう一回おんぶして」と。
「マジでそんなこと言ってんの?」とあきれ顔で言うアイカの背中に飛び乗ると、
アイカは「もうやだ、疲れるといいながらもまた歩き始めてくれた。
ボクが
「やったぁ、これだからアイカは最高に優しい女の子で惚れちゃうだよなぁぁ」
と耳元で伝えると、アイカは
「私、なんでこんなことしてんだろ、冷静に考えると、男をおんぶして歩いてるなんて、絶対にヘンよね」と。
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