第12話・女の子のおんぶでスマホ会話

 1~4話で出てきたマリコと3年ぶりに会い、2人で夜道をファミレスに向かって歩いていると、ボクのスマホにメールが来た。ファミレスで我々と合流する予定の、マリコの友達キミコからだ。道順の質問メールで、回答の文章を打つのが複雑で、歩きながら片手間では打てない。どうしようかなぁ・・。

 あっ、いいこと思いついた。。

「キミコにすぐメール返信しなきゃなんないんだけど、俺、歩きスマホできないんだ。マリコおんぶしてくれればメール打てるから、おんぶして」。

 マリコは不満げだったけどボクが乗ってしまうと、しぶしぶ歩き始めてくれた。ボクはスマホの操作に関しては不器用なので時間がかかったが、すぐにキミコからお礼の返信がきた。

 この返信メールを見てボクは思った。女の子におんぶしてもらいながら、その女の子の上で、他の女の子とメールのやり取りしてるって、男としてなんて贅沢なことしてんだろ、と。しかも相手の女の子からは、お礼までいただいてて。ボクがお礼メールをもえるような丁寧な文章を送れたのは、マリコがおんぶしてくれてるからなのに、お礼はマリコへは行かず、おんぶしてもらってるボクの方へのみ。

 そもそもキミコがナイスタイミングで返信の必要なメールくれたおかげで、ボクは、マリコのおんぶに乗れる口実を得たわけで感謝感謝なのだ。なので、キミコからのお礼をボクが独占せずに「マリコのおんぶのおかげだよ」ということを伝えたほうがいいとおもい、そのようメールを送った。

 そんなこんなやってたら、マリコから「まだメールしてんの? おんぶ重いんだからね」と。あっごめん、マリコが重労働してるの忘れてた。。すると、キミコからメールでなく、電話がかかってきた。

「マリコにまたおんぶさせてるの? 今話してて大丈夫?」

「うん、マリコのおんぶに乗ってるから話せるよ」

「誰と話してるの?」と、おんぶしてくれてるマリコから。

「キミコだよ」

 さっきはメールだったけど、今は、女の子におんぶしてもらいながら、他の女の子と電話でおしゃべり、ちょっと罪悪感。。メールでなくて通話なら、歩きながらできるけど、まあ、いいっか、マリコのおんぶに乗ってたほうが楽だし気持ちいいし。キミコと長電話してれば、降りなくてすみそう。。ホント、女の子のおんぶって気持ちいい。。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る