第9話・カッコイイ歩き方女子エツコのおんぶ
エツコに一目惚れしたのは、彼女の長い脚で大股でカツカツッと歩く、そのカッコイイ姿だった。そのカツカツッ姿を初めて見たときには、エツコは急いで向かわなければならない用件に行くところだったので相手してもらえなかったが・・。
2週間後に会ってもらえたときに、ボクは本心を正直に告白した。あのときのカツカツという歩き方、美しくてカッコよかった。「こんなカコイイ女性に、おんぶしてもらって、カツカツと歩いてもらいたい、っていうのが夢になっちゃって」
「えっ? おんぶ? 私におんぶしろってこと?」
「うん、ごめん、でもお願い」
「男の人なんか、おんぶしたことないよ」
こんなやり取りで、なんとか、エツコにしぶしぶオーケーさせた。足立区の某駅近ショッピングモールの裏側の歩道からスタートということで、人通りの少ないその地点でエツコに乗った。身長164センチのエツコのおんぶは、目線が思っていたよりも高くて気持ちいい。
エツコは歩き始めたが、大股でカツカツではなかったので、
「もっと大股でカツカツとバンバン歩いて」と要求すると、エツコは速度アップしてくれた。エツコの身体の上下振動が激しくなってきたので、乗り心地良いとはいえないのだが、じゃじゃ馬娘を乗りこなしてるような快感がこみあげてきた。エツコのセミロングの髪か揺れて風にたなびくのが、たまんない。
他の通行人からは、我々のことは、どう見えるのだろうか。164センチのカッコイイ女性が、体重67キロの男をおんぶして、颯爽と早歩きしてる光景・・なんて素敵なワンシーンを演出してるんだろうか。
カツカツと大股で歩いていたエツコの歩幅が小さくなつてきた感じしたので、
「エツコ、走ってみて」と言ってみる。「走れってよくそんなこと言えるよね」とエコは、ムッとしてしまったが、おんぶは続けてくれたので、ホッとした。
「ゴメン、走らなくていいから、大股でカツカツ歩いて。そのほうが乗り心地が豪快で。エツコは背高いから、ボクの目線も高くて気持ちよくて、て、もしスピードが速くなったら、もっとすごく気持ちいいだろうな、って思ったもんで・・」
エツコはなにも言わず、速度を上げてくれた。顔にあたる風とエツコの髪が気持ちいい。髪がふわふわとボクの喉元にふれる感じからは「女の子がボクを乗せて走ってくれてるんだよなぁぁ」と、うっとり。
そんな心地に浸っていると、ショッピングモールの正面側まで来てしまった。エツコは「あそこで終わりねと、おんぶ終了を言ってきたので、ボクは「2階テラスまで上がって」と前方の階段を指さした。
階段を4~5段登ったところで、エツコは止まってしまい「あれっ、登れない。おんぶで階段は、おもっていた以上にキツイわ、降りて」と。とはいえ、裏側からショッピングモールを半周くらいだから、150メートルくらい歩いてくれたことになる。エツコありがとう、気持ちよかつたよ。
エツコは、おんぶ大変だった? 大変にきまってるでしょ、あんた、よく女の子にこんな要求したよね、女の子は大変なんだからね、靴擦れできちゃって痛いよ・・。歩きにくい靴だったんだ、ごめん、でも最高のおんぶだったよ。
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