第13話:鋼都市・メタリウム

体が動かない…


アルルファン「無理もない。」

カズヤ「なんでだよ」

アルルファン「ワシの力をかなり使ったのじゃ、まぁ問題はない。だが…」

カズヤ「だが?」アルルファン「現実世界ではお主の魔力制御ができなくなって黒い霧となってだだ洩れ状態になっておる」


出ていた黒い霧は魔力が可視化され洩れているだけだった


数日後…


カズヤ「本日より復帰します!」

克彦「うむ、早速だが次の地域へ行ってもらいたい。」

春姉「世界屈指の技術国家。鋼都市・メタリウムよ。」

克彦「ここ数日前にその技術の約7割以上が失われたと情報が入った。」


克彦「メタリウム支部は残りの3割の維持に手いっぱいらしい。そこで我々の部隊を派遣し原因を探ってほしいとのことだ」

克彦「では詳細を伝えよう。」

克彦艦長が杖を突くと、艦長室が会議室に変わった。克彦「メタリウム支部は、先日の襲撃事件の影響でメタリウム中心部に眠っていたある研究が暴走し、その結果。国の中心部を中心に半径100km圏内は放射能汚染されている状況にある。」

克彦「そして今回の任務内容は、その暴走した研究を阻止することである」

アキラ「放射能はどう対策するおつもりですか?」 克彦「そんなものは必要ない。」

アキラ「なぜですか?」

克彦「今回使用するのはメタリウム支部で開発された人工細胞と、特殊な薬剤である。まずこれを散布する。」

すると薬品の説明が艦長の隣に浮かんだ。

克彦「この薬品を散布するとこの白いオーブが私の周囲に舞う。」艦長がそう言うと艦長の頭上より白いオーブが現れた。

克彦「このオーブに触れたものは浄化される。」克彦「そしてこのオーブの濃度が上がるとメタリウム支部周辺の空間が汚染されすぎている合図だ」

そう艦長は言うと、杖を地面に突いて艦長室に戻った。

アルルファン(わしがいればお主は平気だ、何よりあのオーブの浄化はワシにも効く)

克彦艦長が言った。「今回は、異分子が暴走した原因である"賢者の石"の破壊である。」

アキラ「賢者の石?なんですかそれ?」

克彦「それはこれから分かることだ。メタリウム支部に到着したら見せてもらうといいだろう」

克彦「出発は明日だ」

俺は明日に向けて準備を始めた。

カズヤ「アキラ、お前は残れ。」

アキラ「どうして!」

カズヤ「春姉やユイには神の加護があるが、お前は…」

アキラ「そ、そうか……わかった」

翌日……

克彦「今回の作戦は、まず鋼都市メタリウムに向かう。」

春「そして賢者の石の解析……ね。」

アルルファン「そうじゃ。まずは賢者の石の位置を把握せねばならないからの」

克彦「今回は空から行くと汚染にやられる可能性があるので」

トンッ

艦長室が家庭的な家になった。

カズヤ「ここは」

克彦「メタリウムの宿の一室だ」

アルルファン(カズヤ、用心しろ。)

カズヤ(どうしてだ?)

アルルファン(克彦と名乗るあやつ、わしにもできない長距離空間移動の力を有している)

カズヤ(それは、どういうことだ?)アルルファン(わしは今まで様々な世界に干渉してきた。しかし、その世界から移動できる距離はせいぜい数百キロが限界じゃった)

克彦「どうした?」

アキラ「いやなんでもないです」

克彦「そうか。では健闘を祈る。」

克彦艦長が一瞬にして消えた。カズヤ「消えた……」

我々はドアを開けた。

春「ここが鋼都市メタリウムよ」

ユイ「なんか、凄いね!」そこには大量の機械隊と人々が密集していた。

水平線の先には緑の壁がありその先に汚染区域が広がっていた。

ユイ「これ、大丈夫なの?」

春「大丈夫よ、このオーブがある限りは」するとオーブが舞い上がった。そして汚染区域を浄化していった。

カズヤ「すごい……」

ユイ「あっ!あそこ!」ユイが指さした方向には巨大な建造物があった。

メタリウム支部だ

レヴィ・アイゼンハルト「今回はきていいただき感謝する 。私はレヴィ・アイゼンハルト。

ここの艦長を務めている」

レヴィ「ちなみにだがその段ボールに入っている奴は不法侵入か?」

カズヤ達「え?」

後ろに段ボールがあった。

開けるとアキラがいた。カズヤ「アキラ!」

春「なんでこんなところに」

ユイ「あ、あのぉ、この子が勝手に入っちゃって……」

レヴィ「まぁいい。とりあえずついてこい」すると艦長は歩き出した。そしてある扉の前で止まった。

そこには『関係者以外立ち入り禁止』と書かれた張り紙があった。

レヴィ「ここは我々メタリウムの培った技術のレプリカがある」

カズヤ「レプリカ?」

レヴィ「そうだ、賢者の石は簡単に言えば人工的に作った"核"だ」

春「それって……」

レヴィ「そう。このメタリウム支部は核によって汚染された。そして暴走した研究はこの賢者の石を使った兵器の開発だった」

ユイ「兵器?」

レヴィ「そうだ。賢者の石は、核を無限に生み出すことができる。」

カズヤ「そんな……」

レヴィ「だがこの研究が暴走し、賢者の石の力が暴走したことによって周囲の汚染区域と放射能濃度が上がった」

ユイ「どうして兵器を生み出そうとしたの?」

レヴィ「君たちも魔王軍の侵攻を知っているだろう。」

カズヤ「なんだそれ」

春姉「数日前に魔王軍がストライクバレーに侵攻したらしいわ」

レヴィ「そうだ、賢者の石を利用することで永久に動く戦闘部隊を構えて魔王軍侵攻に対抗できると考えたのだろう」

ユイ「そんな……」

レヴィ「そして賢者の石は、暴走し周囲の汚染区域を拡大した。」ユイ「そんな……」レヴィ・アイゼンハルト「そして賢者の石は、今研究所の地下深くに眠っている。」

カズヤ「その賢者の石を壊せば暴走を止められるのか?」レヴィ「そうだ。だが……お前たちには無理だ」カズヤ達「……」

レヴィ「賢者の石は負の存在から生み出されたものだ。神の加護がある君たちはむしろ正の力に選ばれている。正と負は反発する、賢者の石は負の力の塊だ。君たちに破壊できる力はない」

ユイ「じゃあどうすれば……」

レヴィ「そこで、メタリウム支部が所持する人工細胞を解析しその力を制御してもらおうと思う。」

春姉「それは一体どうやればいいのかしら?」

レヴィ「賢者の石から採取した負の塊を克彦さんからもらっているオーブに含ませることで

オーブで封印することができる。」

ユイ「じゃあそのオーブがあれば賢者の石を壊せるんだね!」

レヴィ「そうだ。しかし、賢者の石は負の塊だ。オーブで封印してもいつまた暴走するかわからない」

ユイ「そんな……」カズヤ「じゃあどうすれば」

レヴィ「だから君たちには最後石を正の力で破壊してほしい、封印すれば汚染区域が発生することはなくなる。」

ユイ「でも、私たちにそんな力ないよ……」レヴィ「大丈夫だ。君たちには神の加護がある。」春姉「そうね……じゃあやるしかないわね」

カズヤ「そうだな!」ユイ「うん!やろう!」レヴィ「君たちの検討に感謝する」すると艦長は頭を下げた。

レヴィ「では、賢者の石のある研究所に案内する」

春姉「ありがとう!」

ユイ「ありがとうございます」カズヤ「ありがとな!」

俺たちはメタリウム支部を出て、汚染区域付近の壁まで来た。

レヴィ「ここから汚染区域に入る」カズヤ達「……」そこには大きなドーム状のバリアがあった。

レヴィ「わたしは加護がない、私ができるのはここまでです」

そして俺たちはドーム状のバリアの中に入った。

アキラ「ここが……」俺は目の前の光景に驚いた。そこには巨大な機械が所狭しと並んでいた。汚染によって崩れかけの家、助けを求めるような形で固まった死体、そして壊れかけの機械の稼働音。

アキラ「なんか……怖いな」ユイ「うん……」春姉は震えていた。

アルルファン(ここが研究所か……)

そして俺たちがドーム状のバリアに入り数分後、前の巨大な機械が稼働を始めた。それはまるで俺たちを目的地まで導くように動いている。

カズヤ「なんだ……」

ユイ「私たちを案内してくれるの?」アルルファン(そうではないようじゃ。)

そしてその機械は大きなドーム状の建物の入り口まで俺たちを運んだ。

カズヤ「ついたな」

するとそのドーム状の建物は自動で開いた。

ドアが開くと中からどす黒い霧があふれてきた。幸いにもオーブのバリアで守られているので害はなかった。

アルルファン(やはりな。)

カズヤ(何が)

アルルファン(これは汚染なんかじゃない、闇の魔力による潜在魔力の暴走によるものだ)

カズヤ(潜在魔力の暴走?)

アルルファン(そうだ。闇の魔力は負の感情から生まれる。この研究所には負の感情が充満していて闇の魔力が異常に増殖している状態だ。)


アルルファン(妙だな。ここは確か、、、)

カズヤ(???)


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