第6話:黒幕
『行こう…』真琴さんはぽつりとそう言って俺たちと一緒にさらに地下へ降りた。
その時の目には涙が浮かんでいた。それもそうだ、我々は人間。命はたったひとつ死ねばもう生き返ることもないのだ。だが敵は痛覚を持たない、武器が尽きれば倒されるのは我々だ。
それからというもの部屋がなく階段ばかりが続いた。妙だった、こんなにも階段だけなのは明らか敵の誘いに乗っているようなものだった。
でも、今はそれでいい。敵の事実を知れればそれでも誘いに乗る意味があったのだ。
そしてついに小さな部屋に出た。
『暗いな…』
すると真琴さんは火をつけた。
『どこからそんな炎が?』俺は疑問に思った。
『ねぇ…誰かが立ってる…。』
奈都希さんの震えた声で真琴さんの手から暗闇に目を向けた。よく目を凝らしても見えない。
すると急に明かりがついた。そこに立っていたのは、、、、
『どうして、お前がそこにいるんだよ!雅人!!』
そう。あの崩落の時に死んだはずの雅人だった。
『……せいだ』
『……前のせいだ』
『お前のせいだ!』
そう雅人は言うと、おれに剣を振りかざしてきた。
目を開けると、真琴さんが俺の顔数ミリのところで剣を受け止めていた。
『ちっ…』
『しっかり警戒しろよな新人くん。』
『す、すみません!』
『彼が君の言ってた親友くんか、、既に理性はないように見えるが』
『雅人。生きてたのか、どうしたんだよ。じっくり話そうぜ、な?』
俺の頬を銃弾が横切る。
右頬のかすり傷から血が垂れた。
『ま、待ってくれよ。あの時は俺だけ助かって悪かっただからまたやり直そうぜ俺たち』
『無駄ですぞ君。彼はもう君の言葉に耳を傾けることは無い。我々の命令以外従わないのです。さぁ!25《トゥエンティファイブ》彼らを蜂の巣にしなさい。』
『黙れ12《トゥエルブ》。俺に命令するな…』
そう言って雅人は剣を抜き白ローブの男の腕を切った。
『何をするのです!これは完璧な裏切り行為ですぞ!』『これはお前が俺に指図したぶんの傷だ、だからお前が悪い』
『ま、まぁいいでしょう。それよりもそいつらを早く始末しましょう』そう言うと、そいつは春姉たちに向かって銃口を向けた。
『春姉!危ない!』
奴の銃口はどっちだ!どっちに向いている!春姉か奈都希さんか。
『はぁ、いちいちうるさいわね』
大きな金属音がした。よく見ると地面に銃弾が落ちていた。
『私が無防備で戦場に来るとでも思った?金属製のハイヒールよ。ちょっと和也は組織のこと舐めすぎね。やっぱり恋愛と同じでまだまだね』春姉が俺を茶化してきた
『うるせえ。今はそんなことしてる場合じゃねぇだろ』
『なぁ雅人。俺のことどう思ってる?』
『殺したい…』『そっか、』
『それ聞けて清々したぜ。』
『お前を見捨てた俺も悪い。俺を本気にさせたお前も悪い。』
そう言って俺はカバンからふたつのボールを取り出した。
『なんだそれは』
『こんな悪いことしてるお前たちならわかってると思ったが別の方法で崩落を起こしてるのか?これはな……不思議な玉だよ』
見たら分かるよ!というツッコミをいれたがってるみんなには何かを教えよう。
これは博士の開発した反重力玉の軽量版だ。起動式で持ち運びに長けている。
だが、威力に問題は無いぞ
『これをくらいやがれ!』
俺の投げたふたつの玉は近づきながら大きな音を立てて雅人に向かって飛んで行った。
玉が雅人に当たった瞬間、その玉はありえないスピードで上へ弾けた。
玉は雅人のあばら骨を砕きながら上昇し、四方八方へ破裂した。
もちろん雅人は致命傷だ。だがどうしたものか、、
雅人は倒れた途端に立ち上がった。
『ははっ。馬鹿だな俺は、親友だからって加減をし、それに苦痛までおわせた…
でも!あの時の雅人はもう居ねぇ。このワンストーリーにも終止符を打たねぇとな。』
『ありがとよ。雅人。』
『お前と過ごせたこの世界は美しかったぜ』
俺は残りの反重力玉を雅人めがけて投げた。それらはさっきとは比べ物にならないほどの勢いで飛び、雅人の四肢は吹き飛んだ。
『これ以上は危険だ…』
白ローブの男がそう言い。雅人を抱えて、暗闇へ消えていった。最後に言った言葉は、
『崩落は我らが勲章なり。』と
上から大きな音が聞こえた。
急いで駆け上がると豪傑のメンバー4名が血だらけで立っていた。
『おい!お前らその傷。あの後何があった』
真琴さんの一言に彼らは
『アイツらの攻撃は威力が増した。それでほとんどがやられた…だがさっき急に爆発して、白ローブのやつは逃げていった。俺たちだけが生き残った。』
その時俺はすぐに気づいた。
『みんな!早く外へ出るんだ!』
そう……崩落だ……
倉庫は跡形もなく崩れ、来た時は50はいたはずの我々はたった8人になっていた。こんな初任務になるとは思ってもいなかった。
帰還し、全てあったことを艦長に話し、これからの事を決めることにした。
雅人のことや崩落のこと。反重力玉では無い方法での崩落の方法。改造人間の爆破など
課題は山ずみだ。真琴さんの分隊もひとつ減るほどの被害だ。だが、艦長は言った。
『これからは我々と組織、そしてこの星の戦いである、ここで挫けていてはいつまでも平和は訪れぬ。』
と
それから俺は引きこもりに後戻りした。
春姉が話に来てもドアを開けず話に耳を貸すこともなかった。
ある日、ドアが壊される音がした。
真琴さんだ。
真琴さんは睨んだ顔で俺の顔を叩いた。
『なぁ、どうしちまったんだ和也。冷静になって現実を受け止められなくなったのもわかる。俺だってほとんどの部下を失った。でも、お前がこうやって動かなくなったらお前まで失うことになる。』
『それは、真琴さんの願望であって、俺に得はないじゃないですか』
するとまた真琴さんは俺の顔を叩いた。さっきよりも強かった。
『本当にそれでいいのか?お前はもういいんだな?親友が生きていた!でも理性を失っている。じゃあ助けないのか?戦っている時のあいつの目を見なかったのか…すこしでもお前に助けを求めていたあの目を!』
その言葉で俺は少し目が覚めた。
『お前がやらないとあいつはいつまでも暗闇に鍵をかけたままのお姫様だ!落ち込むのは今するべきことか?本当にそれが最適解か?最適解だと思うなら、部隊から抜けろ。そこでお前の成長は終わる。
誰にだってできることじゃねぇんだぞ!』
真琴さんの目には怒りとともに涙がまた溢れていた。
『ありがとうございます。俺、間違ってました。必ず雅人を救い出して黒幕を』
『その意気だ!ようやくあの日と同じ目になったな。』
それから精神治療を受けながら部隊に復帰した。
そして新たな情報から黒幕の幹部領があるという砂漠の国へ向かうことになった。
今度は隊員ではなく、分隊長として……
〜〜〜7話へ続く〜〜〜
ごめんなさいね🙏話が転々としちゃって
考えていた物語が少し変だなと思って改良しながらやっていたので話がごっちゃになってしまいました。でも!必ず面白い完結になるのでそれまで応援してください。
byれん
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