進展①


 中学生になったからといって劇的に何かが変わる訳じゃなく、加奈との関係は中の良い友人として続いていて、しょっちゅう加奈はウチに遊びに来ていた。


 俺としては彼女ともっと仲良くなりたいと思っている、分かりやすく言えば恋人としてお付き合いがしたい。


 ならさっさと告白しろよって思うかもしれないが、今ある関係が壊れるかもしれないって考えると、やっぱり怖いのだ。


 ヘタレ?知ってるよ!


「相川君どうしたの? さっきからボーっとして。」


「お兄ちゃん…どうせ変なことでも考えてたんでしょ?」


 声をした方を見ると、心配そうにしてる加奈とジト目で睨んでくる愛梨がそこに居た。


 中学二年になり、愛梨が入学してきてからは毎日のように三人で帰っている。

 思春期になると異性の幼馴染みとは疎遠になったりするらしいが、俺達には全然関係ない話しだな。


 加奈と疎遠になるとか…やめてくださいしんでしまいます。



 ある日、放課後になり加奈と一緒に帰ろうと声をかけると、ちょっと用事があるから先に愛梨と帰っていてほしいと言われた。


 愛梨を探して廊下を歩いていると空き教室から話し声が聞こえた、気になって少しだけ開いていた扉から覗いてみると、二人の人間…加奈と隣のクラスのイケメンが中で何かを話していた。


「三川さん、いきなり呼び出してゴメン、どうしても君に伝えたいことがあって…。」


「ううん、大丈夫。それで どうしたの?」


「うん…オレ、君のことが好きなんだ…だから付き合ってほしい。」


 それを聞いた俺は慌ててその場から離れた、そしてそのまま愛梨と合流することなく、一人で家に帰ってきてしまった。


 自分の部屋で先程の光景を思い出しながら、加奈はどうするんだろう…なんて考えていた。 あのイケメンの告白を受け入れて付き合ったりするのだろうか?


 そんなのは当然嫌だ、だけど俺と彼女は所詮仲の良い友人同士でしかない。


 色々考えてると突然部屋に愛梨が怒りながら入ってきた。


「お兄ちゃん!何で一人で帰っちゃったの?!携帯に連絡しても応答がないし…加奈ちゃんも心配してたよ。」


「…三川と一緒に帰ってきたのか?」


「うん、お兄ちゃんを探してたら廊下で会ったから……ねぇ、どうしたの?何か悩み?」


「なんでそう思うんだ?」


「見たらわかるよ…お兄ちゃん顔にでやすいもん。」


 え、そうだったのか…?


 しかし…どうしようか、このまま一人で考えてても…だからと言ってこんなことを愛梨いもうとに相談するのも…。


「もしかして加奈ちゃんのこと?」


「っ?!な、なんで?」


「お兄ちゃんって加奈ちゃんのこと好きでしょ? 今日は加奈ちゃんも微妙に変な感じだったし…。」


 ばれてるー?!


「…やっぱりそれも顔にでてたか?」


「モロにね。」


 モロですか…そうですか、めちゃくちゃ恥ずかしい。


「加奈ちゃん、今日 告白されたんだって」


 愛梨がどうしても結果が知りたいけど、聞きたくないことを話しはじめた。


「……。」


 何も言わない俺に、呆れたようにため息をつきながら続きを話す愛梨。


「加奈ちゃん断ったんだって、他に好きな人がいるからって」



――――――――


すいません四話じゃ終わりそうにないです…

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