進展②



 加奈が告白を断ったことは素直に嬉しい、卑しい考えだとは思うけど、加奈が誰かと付き合いはじめたら俺は絶対に立ち直れない。


 だが他に好きな人がいるってことは、次は加奈の方から告白をするのかも知れない。


 加奈に告白をして、今の関係が壊れるのは嫌だけど…結局告白をして振られるのも、告白をせずに失恋するのも結果としては変わらない。


 もし加奈がその『好きな人』と付き合うことになれば、お互いの家を気軽に行き来することも、一緒に登下校をするのも、たまに遊びに出掛けることも出来なくなるだろうし。


「…信じらんない、どうしてそこまでやってて振られることしか考えてないわけ?」


「いや、でも…。」


「あー! もう面倒臭い! お兄ちゃんはどうしたいの? どうなりたいの?」


「それは…付き合いたいよ、恋人になりたい、デートして、手を繋いでハグをしてキスをして出来れば週二ぐらいでセック」


「止めろばかあぁぁぁ!」


 バチーン!


「痛ー?! 何すんだよ! お前がどうしたいか聞いてきたんだろ?!」


「そこまで聞いてないから! 『付き合いたい』で止めといてよ!」


 お…俺は一体何を口走って…?


「はぁ…今度のお祭りに、加奈ちゃんを誘ってきてよ。 私も友達を連れて行くから。」


「お、俺が?」


「そうだよ、このままじゃ加奈ちゃん誰かに取られちゃうよ、それでもいいの?」


 いい訳ない…けど


「あ、愛梨が誘ってくれたり…。」


「甘えんな、大体これはお兄ちゃんが誘うから意味があるの!」


「え…それってどういう?」


「いいから!誘うの?誘わないの?!」


「さ、誘います!」


 どうしたんだろう今日の愛梨は…。



 この後でスマホを確認したら、加奈と愛梨からメッセージが届いていた。


 加奈から送られてきたメッセージは、愛梨と合流せずに、一人で帰った俺を心配するものだった。


 次の日の登校中に、早速 加奈を誘うことにした。 …時間が経つと決心も鈍るからな…。後、隣を歩いてる愛梨の 早く話せ って視線が怖い。


「どうしたの相川君、考えごと?」


「あのさ…今度、お祭りがあるだろ? そのお祭りに…い、一緒に行かないか?」


「あ…うん、愛梨ちゃんも行くんでしょ?」


「勿論、新しい浴衣も用意したんだー。加奈ちゃんも浴衣を着て行くんでしょ?」


「うん、ちょっと恥ずかしいけど…。」


 加奈の浴衣……加奈の浴衣?! 良いんですか?ありがとうございます!ありがとうございます!


 めちゃくちゃ楽しみ…。


「あ…相川君?」


「気にしないで加奈ちゃん、多分気持ち悪いこと考えてるだけだから。」


 …顔にでてましたかね…?


 いやでも仕方ないだろ!


「いや、楽しみだなーって。」


「どっちが?」


「浴衣。」


 加奈は少しだけ赤くなって、愛梨にはジト目で睨まれた。





 お祭り当日の待ち合わせ場所に、愛梨と向かってる最中に「加奈ちゃんの浴衣を、ちゃんと褒めること。」と、当たり前のアドバイスを頂いた。


 待ち合わせ場所で、愛梨と話しながら待ってると愛梨の友達が先に来て、 軽く挨拶だけして加奈をソワソワしながら待ってると、愛梨がとんでもないことを言い出した。


「あ、お兄ちゃんごめん、回りたい所が沢山あるし、花火も良い場所が取りたいから美紀ちゃん達と先に行くね。」


「え、ちょ…」


 言いたいことだけ言うと愛梨は友達とさっさと行ってしまう。


 どうするんだ…多分一人で何とかしろということなんだろうけど……いや、腹をくくるか、例え駄目でも今日何もしなかったら一生後悔する気がする。


 俺は、相川 宗二 は今日、三川 加奈 に告白をする!


 ―――――――――

 当初の予定では愛梨とのやり取りは殆んど無かったんですが、やっぱり妹は必要かなって…(言い訳








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る