『最終話』エピローグとざまぁw(誰の?)

レインの捨て身?の攻撃で魔王は消滅した。魔王のいた場所には魔王の角らしきものが転がっていた。


「これ、魔王討伐の証拠になるかな?」


イージスが慎重に調べていた。フレイアとガイアも危険がないか、周囲を捜索して警戒していた。


「シオン、大丈夫だった?」


すでに精神力を使い果たし、10年は歳を取ったような状態のレインがいた。


「わ、私よりレインの方が大丈夫なの!?」


レインはまだフリフリな変身状態であった。


「は、早く着替えて?」

「…………1度変身したら時間がこないと解けないんだ」

「そ、そうなんだ………」


死んだ目のレインにシオンが抱きついた。


「ありがとう!助けてくれて。嬉しかったよ」

「シオンが無事でよかった。守ってあげられなくてごめん」


「ううん。レインが自分の身を削ってまで助けてくれたこと嬉しかった。本当にありがとう」


レインはシオンの言葉に救われた気持ちになった。身を削って助けたかいがあったと実感した。


「こ、今回だけだから……ね?」

「えっ?」


シオンはレインに口付けをした。

ボンッ!?


ちょうど変身が解けて元の姿に戻ったレインは真っ赤になりながら夢心地の状態で意識を飛ばした。いつも格好を付けて女子にキャーキャーされているレインも、実はウブなのであった。


「本当に今回だけですからね」


側にいたマリアもレインのプライドを捨ててシオンを守ったことを認めていたのだ。

いつもはシオンloveでレインを忌々しく思っていた腹黒マリアも今回だけは目を瞑った。


「いいのか?」


フレイアは少し離れた場所で警戒を行っていたガイアに尋ねた。


「今回だけはレインに譲るさ。アレを見たら……な」

「まぁ、今回は仕方ないだろう。だが諦めていないのだろう?」

「勿論だとも。シオンの事は諦めないぜ!」


フレイアは頑張れよと励ました。


こうして、周囲に問題がない事を確認したシオン達はダンジョンの外へと帰還した。


外へでたシオンはSランクパーティーや学園長などに経緯を説明した所、大変驚かれた。


「まさか勇者の気配を察知して、大迷宮から初心者ダンジョンを繋げてやってくるとは………」


学園長は何かを考えるように言った。


「この魔王討伐の証拠である『黒曜の角』があるので疑いないのだけれど………」

「学園長、何か?」


考え込む学園長に声を掛けるが─


「いえ、魔王は特殊な体質で聖剣類ではないとダメージを与えれません。そして、完全に倒すとなると、勇者の血が必要とされていたのです。過去には勇者の血を混ぜて封印の魔方陣を描いたそうです」


勇者の血?

もしかして………


「あ、それ勇者の血じゃ無くても良いようだぞ?多分、勇者の体液で良いみたいだな」


!?


「フレイアお姉様、それは………」

「どういうことですか?」


「学園長、シオンの名誉に賭けて秘密にしてください。実は─」


フレイアは学園長とこの場にいたメンバーに秘密厳守で話した。


「なるほど、接吻による唾液の採取が知らず知らずに魔王の耐久性を弱めていたのですね。魔王も勇者は『男性』だと油断していたのでしょう」

「ふふっ、ざまぁないとはこの事だな」


「どういうことだ?」


事情を知らないガイアが疑問の声を上げた。


「いえ、まぁ~個人情報ですので秘密です」

(だってその方が面白いですからね♪クククッ)


学園長は顔を背けて悪い顔をした。


『この人は!?』


なんとなく学園長の意図を汲み取ったメンバーは気の毒にと思った。



あれから魔王討伐は時期が来るまで秘密となった。魔物の活性化が収まっていないためだ。

第二の魔王がいるのかも知れないと秘密裏に調査をすることになったのだ。


そして─


「おい!今日は私とシオンのデートの日のはずだろう!」


シオンとお出掛けを邪魔されて怒っていた。


「何度も言うがシオンは私の嫁だ!他の男と出掛けるなんて許せん!」

「おまっ!約束と違うだろうが!」


ガイアとレインは交互にシオンと出掛ける密約をしていたのだ。


「………そっちがその気なら考えがあるぞ?」

「ふっ、あの忌々しい出来事など誰も信じないぞ?残念だったな」


あれからガイアはレインの魔法少女の事をネタに脅し……コホンッ、からかっていたのだ。まぁ、誰も信じなかったので、レインは自信を付けたのだった。


「今日はプレゼントを用意したんだがなぁ~?」


???


「……ま、まて!?それは─」


箱から出てきたのはガイアが職人に依頼して作った魔法少女(笑)版のレインのフィギュアだった。


「俺の宝物なんだが?」


レインの魔法少女フィギュアが宝物って………


「寄越せ!消滅させねば!!!!!」

「あ~あ、これと同じ物がもしかしたら、どこかで販売されるかもなぁ~?」


!?


な、なんだ……と!?


「レイン、わかっているな?」

「…………今日は許してやる。今日はだ!」


こうして微妙なパワーバランスで成り立つ二人であった。



「どうしてこうなった!?」


イージスは実家に届いた婚約の申し込みのハガキの山に頭を抱えていた。

聖剣の保持者となったイージスに、シオンやレインの後ろ楯があるとはいえ、お近づきになりたい者が多くいたのだ。


「まぁ、イージスも良い歳だ。そろそろ婚約者を決める時期だろう。私が決めるより、お前にはよーく考えて決めて欲しい」


イージスの父親は良いことを言ったつもりなのだろうが、イージスに丸投げしたのだ。


教室で頭を抱えるイージスにシオンの様子を見にきたフレイアが声を掛けた。


「どうしたイージス?」

「えっ?ああ、フレイア様。実は─」


イージスは経緯を話した。


「なるほどな………」


フレイアは獲物を見つけたような顔で言った。


「よし、ちょうど良かった。ならば私の婚約者となれ♪」


「……………はい?」

「うむ、言質は受け取ったぞ」


いやいやいや!!!今の『はい』は、意味がわからないって事で!?


きゃーーーーー!!!!!!


「ふ、フレイア様!今のは本気ですの!?」


放課後とはいえ、まだ教室には生徒が残っていたのだ。


「ああ、本気だとも。私もそろそろ婚約者を探す時期だったし、個人的に弱い男は論外だしな。イージスは私より弱いとはいえ、実力もかなりあるし聖剣の保持者となった。悪くないだろう?」


あ゛あ゛あぁぁ………………


イージスは絶望の顔となった。長年の勘からもう逃げられないと察したからだ。

そして、貴族の……女子の情報網は光速を上回り、明日には全校生徒、及び国中に知れ渡っていると直感がそう囁いていた。


「どうしてこうなった!?」


万が一、フレイアと付き合い結婚すると、腹黒マリアが付いてき、シオンと義兄となるのでレインかガイアも付いてくるのだ。


イージスは心の中で絶叫するのだった。


これは誰得なのだろうか???


・魔法少女に変身して悶えるレイン

・男と知らずにシオンに想いを寄せるガイア

・何故か不幸になるイージス

・せっかく異世界転生したのに女装して暮らすシオン


はてさて、誰が知らずに『ざまぁ』なのかは神のみぞ知るのであった。



END

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気弱な私が転生したら、チートを持っていたのは婚約者の方だった件について─ naturalsoft @naturalsoft

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