ダンジョンで大儲け♪
週に1度のダンジョン探索の日です!
ホームルームが終わり、学園にあるダンジョンの入口へ向かいました。ダンジョンの入口は校舎の外にあり、魔物が出てこないように常に帝国の騎士団の小隊が詰めて見張っています。
「あっ、お姉様!こっちです~!」
一足先に来ていた妹のマリアが手を振って呼んでいた。
「マリア!お待たせ!」
「シオンお姉様、今日は何階層まで潜りますか?」
マリアの問い掛けにシオンは無言で後ろを指差した。
バチバチッ!!!
バチバチッ!!!
「あぁ~………わかりましたわ。深層へ潜る装備を用意してきますわ」
レインとガイアの対立は有名になりつつあった。マリアは空気の読める女なので、すぐに察して準備に掛かった。
「はぁ~すでに学園の初級ダンジョンは10階層まで行った事があるからスピード勝負かしら?それとも魔物を倒した数で勝負がいいかな?」
シオンは今回のダンジョン探索ではまったりと無理せずゆっくり進む予定でいたのだ。それが狂ってため息を付いた。
「ここにいたかシオン?呟きが聞こえたが、ダンジョンでは無理に速く進むのは危険だぞ?」
後ろを振り返ると姉のフレイアがいつもの赤色のドレスアーマーに身を包んでおり、魔戦斧ディザスターを背中に背負っていた。
「あ、お姉様!」
「またあの二人の我が儘に付き合わされるのか?」
フレイアも二人の王子を見てため息を付いた。
「あ、あははは………まぁ、そんな所です」
シオンは苦笑いをしつつマリアを待った。
「おい、そこの『無能王子』ども!まさか、か弱い妹に買い物をさせて、荷物も持たないつもりか?」
!?
フレイアの言葉に、バチバチッとやっていた二人が我に返り、急いでマリアの元へ向かった。
「まったく、普段は有能なはずの奴らなんだがなぁ~」
腕を組んで呆れて言った。
「でも頼りになりますよ?本番ではね……」
シオンもなんやかんやで二人の事を信用していた。買い物を済ませてきたマリアは荷物を二人に持ってもらい戻ってきた。
「シオンお姉様!新しい食べ物が増えていましたわ!?」
「あら?もう販売していたの?みんなに秘密にして用意してきたのだけれど?」
シオンは自分の荷物から同じ物を見せた。
「シオンの『新作』か!これは楽しみだな♪」
「もうっ!教えてくれても良かったのに!シオンお姉様の意地悪!」
フレイアは上機嫌に答えた。マリアも本気で怒っている訳ではなく、顔は笑っていた。
「さて、そろそろダンジョンへ潜るか。すでに多くの生徒が入っていったようだしな」
辺りを見ると生徒の数が少なくなっていた。シオン達はファーレンド三姉妹とレイン、ガイア王子の5人パーティーで活動している。すでに学園にある初級ダンジョンは最下層まで踏破したことがあるのだ。
「さて、ガイアわかっているな?」
「ああ、どちらが魔物を多く倒すかで勝負だな」
二人ともやる気に満ちていた。
しかし─
「そうだ、二人とも5階層までは後方を頼む。最初は私達だけで進むから」
ズコッと、こける二人であった。しかし、フレイアは1番の年長であり、実力もあるエースアタッカーであるので、王子二人は反論しなかった。いや、できなかったと言うべきか。
「6階層から頑張って貰うから体力を温存しておいてくれ」
フレイアはちゃんと飴と鞭の使い方を知っており、指示を出すのも上手かった。こうして、シオン達はダンジョンの奥へと進んで行くのだった。
さて、多くの生徒が潜ったダンジョンだが、全ての生徒が深層へ向かう訳ではないのだ。各パーティーには教師から『課題』が出されている。例えば、スライムを10匹倒すや、指定された植物や鉱石の採取など、特定の階層にしか出ないものがあるので、ある程度下に潜る人数はバラけるのである。
ダンジョンへ入ると1~3階層までは生徒の数が多く、魔物も突発的に発生したもの以外は遭遇しなかった。そして5階層まで来ると生徒の数も減り、魔物と戦うこともでてきた。
「さて、ちょうど半分まできたし休憩にしましょう」
5階層には『セーフティエリア』があり、魔物が出てこない場所があるのだ。長い年月を掛けて学園は……学園の生徒達は5階層に小屋を作り、装備品の予備や寝床の毛布など生活品を持ち込んでいた。
グツグツ……
ちゃんとしたキャンプ場にあるような、キッチンを使い、料理を作っていた。
そう!このダンジョン探索に欠かせない食糧を、シオンは前世の知識で開発したのだ!
「本当にシオンには驚かされるよ。ダンジョンでまともな美味しい料理が食べれるなんて」
「ひと昔は、干し肉がメインで後はチーズぐらいしか持って行けなかったからね」
昔は干し肉を沸かしたお湯に浸けて食べるのが主流だった。しかし、シオンは6歳の時にフリーズドライの技術をこの世界に編みだし、ダンジョンの食事事情が激変した。
これにより、すでにシオンは莫大な利益を上げて億万長者になっていたのだった。
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