第8話 それが夢ってやつか

 その晩、夢をみた。

俺は、昔からあんまり夢ってみたことない。

ってか、みたのかも だけど、朝起きると瞬間忘れちゃう みたいな……

だけど、その夜みた夢は、朝起きてもハッキリと覚えていた。

その場にいたみたいにすごくリアルで。

でも、ありえない内容だから、完全に夢なんだけど。


 中学の同級生の柊矢。

俺は県外へ引っ越したから高校は別の学校だったけど、大学で偶然また一緒になった。

数少ない親友と呼べる友達だ。

その柊矢が夢に出てきた。

ってゆうか、感覚としては柊矢の夢の中に俺もいるみたいな不思議な感じ。


これまた同じ中学で、中学時代に柊矢が3年間

片思いしていた、アイドル的存在だった翔子。

柊矢が翔子に告白するって夢。

なんで今さら翔子だよ。

Facebookだか、インスタだかなんだかで翔子と繋がれて、会う約束をしたのだと。

待ちあわせ場所は、横浜の赤レンガ倉庫。


「柊矢!久しぶり!何年ぶりかな?急に会いたいって、なんなん?」

おっ!翔子か!相変わらず美人さんだな~!

って、これ夢だから、想像上の翔子だけどな。

あはは。

「翔子!俺、おまえのこと、中学の時 すげー好きだったんだ!!」

「えっ?なになに?突然!!」

「翔子!俺と結婚してくれ!!」

プ~~!!あはは!!なんだよ、それ!!

吹き出しちゃった!!

手品みたいに、どっからか花束を出して、翔子に手渡した。

「なんで!?意味わかんないし!!なんで結婚なん?せめて、付き合ってくれじゃないの?」

それ!マジ正論!!

柊矢は、翔子を引き寄せて抱きしめた。

「翔子!マジで!大好きなんだ!結婚しよ!」

そう言ってキスした。

わぁーー!!やるな~柊矢!

だいぶ無理やりだけどな!

しばらく2人見つめあっていた。

「わかった。いいよ」

と、翔子が言った。

で、今度は濃厚なキスをした。


なんだかな~。

こんな展開あるかよ。

まっ、それが夢ってやつか。

夢の中では空も飛べるってな。

なんか、安~い劇団の芝居でも観たような感じ。

はい、はい、柊矢、お疲れ~!

翔子もお疲れ~!


あれ……でもこの内容は、なんか昔 俺が考えたお話のような??

なんだっけ?これ?

あ、中学の文化祭でクラスの出し物でお芝居をするって時に、全員 物語を書かされたんだ。

俺が書いた話は、こんな話。

ボツだった。

まぁ、そりゃそうだ!こんなクソみたいな話が、間違って採用されなくて良かった。

ま、間違っても、採用されることないけど。

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