第9話 そうゆう夢をみたって話だろ?

 次の日

大学に行くと、

「奏大ーー!!奏大ーー!!奏大ーー!!奏大ーー!!奏大ーー!!」

100メートルくらい先から、柊矢が叫びながら走ってきた。

おい!これ、到着するまで俺の名前呼び続けるのかよ。

同じ大学だけど、学部が違うから、大学のキャンパスで柊矢と会うことは滅多になかった。

だから、わざわざ俺が来るのを待ってたんだなって思った。

「奏大!!西門から来るのかと思ってたらなんでこっちだよ~!?」

「チャリ置き場に停めてきたから。

ってか、なんだよ?俺の名前連呼して」

「いいか!!落ち着いて聞けよ!!」

落ち着くのはおまえの方な。

「俺、翔子と結婚することになった!!」

「は??それは、夢の話だろ?」

「おまえが信じられないのは、わかる!!

俺も、まさか翔子と結婚できるなんて思ってなかったし!!」

「だから!!そうゆう夢をみたって話だろ?」

「さっきから、なんだよ!夢、夢って!!

昨日、翔子と赤レンガ倉庫で待ちあわせして、で、そうゆうことになったのーー!!キスしたし!!ガッツリべろキス!!」

「だから……」

なんなんだ?

それは、昨日の夢の内容だよな?

正夢ってやつなのか?

あの内容の夢が正夢になることなんてあんのかよ?

「ちょっと、話を整理させてくれよ」

講義に出るつもりできたけど、サボって、柊矢と学食に行った。

柊矢の話を落ち着いてしっかりと聞いたけど、やっぱり昨日、俺がみた夢の内容のまんまって感じ。

ところどころ話が曖昧だったりする。

なにがなんだか、トントン拍子で!!って。

それって、そもそも、俺のシナリオがテキトーだからじゃないのか?

「で?いつ結婚するんだよ?」

「それは、まぁおいおい。俺も翔子もまだ大学生だし」

「つまり、結婚を前提にお付き合いすることになったってことだな?」

「ん?うーん。そうゆうことになんのかな?」

なんなんだ?

ってか、マジで なんなんだ?

俺と、柊矢が同時に同じ夢をみて、で、柊矢は夢の内容を現実のことだって錯覚してんじゃねーのか?

「な!今、翔子に連絡とれんの?ちょっと、確かめたいんだけど」

「あぁ、いいよ。今大丈夫かラインしてみる」

柊矢がラインして、すぐに翔子から電話がかかってきた。

「翔子!奏大が信じられないって言ってっから、話してやって!うん!そう。今 代わる」

はい、って俺にスマホを差し出した。

「もしもし、操人奏大だけど」

「くりと~!久しぶり!柊矢と大学一緒なんだってね~!」

わっ!!昨日の夢の中の人の声と一緒だ!!

「ビックリしたでしょ?」

「ってか、結婚……マジですんの?柊矢と」

「うん!する!まぁ、おいおいね~!まだ大学生だし」

なんか、そのフレーズも一緒だな。

「ってか、会いたい!!会える?」

「今日の夕方ならいいよ~!柊矢と一緒に来て!夕飯食べようか?」

横から柊矢が手を出したからスマホを返した。

二人で時間とか場所とかを決めている。

勝手に柊矢が思い込みで夢を現実だと思ってたって説は、違うみたいだ……

翔子は現実にいて、現実に柊矢と結婚しようとしている。

中学卒業以来4年半ぶりに会って、そんな展開あるかよ。

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