第24話 普通の子として

 次の日、おやじとおふくろと、また じいちゃんに話を聞いた。

夢操人の歴史、ゆめあやつりで 出来ること、してはいけないこと。

私利私欲の為につかってはいけないと。

それと、絶対に人を殺めたり、傷つけることはしてはいけないと、口を酸っぱくして言われた。

夢操家とは関わらない方がよいと。


「でもさ、また、夢の中で会っちゃったらどうする?

操人家の奏大です。ってとりあえず自己紹介した方がいいのかな?敵対してるよりは、友好関係でいた方がいいと思うんだけどな。親戚なんだし」


じいちゃんは、はぁ……と、大きなため息をついてお茶を飲んだ。

「奏大、今のお前にとっては、直大と千鶴さんは、なんの記憶もない人だから、その2人が夢操に殺されたと言っても、なんにも思わないってことなんだな。それは、それで、仕方のないことではあるがな。

私は2人が亡くなってから、すべてを放棄した。

夢操と、争うことも。復讐することも。

ゆめあやつりのチカラをつかうことも。

奏大に、ゆめあやつりのチカラを教えることも」

「ジジ様、申し訳ございません」

と、おやじが謝った。

「いや、昌光。私の方こそ申し訳なかった。

友恵も、この15年の間、奏大の母としての務め、大義であった」

「とんでもございません」

「2人には、奏大にゆめあやつりのことなど教える必要はないと言った。普通の子として、普通の親子として生活してくれとお願いした。

これからも、普通の人として生きてくれればいいと思っていたんだが……誤算だったな……

10歳の奏大が儀式をすることを望んだように、今の奏大も潜在意識下でチカラの発現を望んでいたのかもしれないな。

奏大、ちょっと散歩に付き合ってくれ」

「散歩?いいけど」


じいちゃんの後ろをついて玄関に行き、外に出ると、昨日お茶を出してくれた女の人が、じいちゃんに杖を渡した。

「ありがとう」

「奏大様、ジジ様のお手をとって歩いていただけますか?」

その女の人の声は、なんだか懐かしい感じがした。

「あ、はい!わかりました!」

と応えた。


外は一面 お花畑みたいに見えるけど、近づくと10メートルくらい、サーっと道が拓けるみたいな、霧がはれるみたいな、なんてゆうか不思議な感じ。

お花畑の中の、その小径をじいちゃんと2人で歩いた。

ちょっと斜面になっているのか、のぼり坂の様だ。

急に前が拓けたと思ったら、大きな木がそびえ立っていて、その前にお墓らしいものがあった。

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