第18話 ゆめあやつりびと?
次の日
昼近くまで寝ていた。
久々に安心して良く寝られた。
この間の田鍋の夢の中でのことがあってから、なんだかよく眠れていなかった。
また、夢の中であいつに会ったら、どうしようか……とか考えてしまう。
対話ができる感じではなかったし、攻撃的な感じがした。
その時は、ただただ呆気にとられた感じだったけど、あとあと怖くなった。
突かれた胸の辺り、痛かったし、後で見たら赤くなっていた。
起きてリビング的な部屋に行くと、ソファにおやじが座っていた。
「おはよう」
「お!奏大 おはよう!久しぶりだな」
「うん、ご無沙汰」
「突然どうしたんだ?」
「あぁ、ちょっと聞きたくて。ソウジンってわかる?」
「えっ!?」
おやじは、俺の顔を見て固まった。
「えっ??」
俺は半笑いで聞き返した。
おやじは、大きく深呼吸すると、改めて俺の顔を正面から見た。
「くりと家は、元はそうじん家と名乗っていた。字は同じで読み方を変えたんだ」
「は?なんで?」
「奏大、何があったか、とりあえず先に話してくれないか?」
「うん、えっと~ 意味不明過ぎて、うまく話せないかもしれないけど……」
そう前置きをして、俺はここまでの話をおやじに話した。
「はぁ…………そうか…………」
ため息をついて、すごく小さな声でそう言った。
「奏大が夢の中で会ったと言うのは、夢操家のヤツだな」
「むそう?
ってか、夢の中とかの話、あっさり納得したの?」
「はぁ…………
どこから話せばいいのかな……
操人家と夢操家は、まぁ親戚だ。2つに分かれてから70年くらい経つが。
元々は夢操人と呼ばれていた」
「ゆめあやつりびと?」
「ときの王に仕えて、王の所望する夢をみせて、思いのままに民を統治する。王と言うのは、時代によって、天皇だったり、将軍だったり、関白だったり。とにかく、その時代のトップのことだが。
夢操人は、王にとって、なんでも願いを叶えてくれる無敵のアイテムとして大事にされていたんだ。
う〜ん、大事にってゆうのか、そのチカラが他の者の手に落ちることを恐れ、軟禁状態のような感じだったらしいが。
時代が大きく変わった様な時は、夢操人の謀反が原因だったんだろうな。あ、謀反ってわかるか?反逆だな。
で、現代の話になるが、第二次世界大戦後、なぜこうなったのか?と責められた。日本国民を守る為に最善を尽くしたのだが、天皇の逆鱗に触れ、一族郎党死刑になった。戦犯ってやつにされてな。戦後のバタバタした中で、それは行なわれた」
「死刑?」
「そう。ほとんど殺された。戦後のどさくさに紛れてな。でも、数人はなんとか逃げ出したんだ。それが大ジジ様だ。田舎の山奥にこもり、ひっそりと暮らしていた。息子のジジ様もチカラはお持ちだったがつかうことはなかった。そして、ジジ様の息子の直大様は、チカラを発現させることもできなかった。チカラをもたない方だったのに……殺された……
表向きは事故として処理されたが、夢操に殺されたんだと思う。千鶴様とお二人で車の事故に見せかけて殺されたんだ。
お二人は…………、奏大の実のご両親だ」
じつの、ごりょうしん?ってなんだ?
「実のって何?」
「私は、いや、私達は、奏大の実の親ではない」
「は?なにそれ?」
「奏大は、直大様と千鶴様の一人息子。5歳の時に、ご両親は亡くなられた」
「は!!??そんなわけねーじゃん!!俺はずっと、おやじとおふくろと一緒にいたじゃんか!!」
「ずっと……か……
奏大、幼稚園の頃のことって覚えてるか?小学校の入学式は?覚えてないだろ?覚えてないんじゃなくて、消えちゃったんだ。10歳の誕生日に。それまでの記憶が全部消えた」
「記憶が……消えた?記憶喪失になったのか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます