第16 話 ソウジンカ?

 「ソウジンカ?」

低いドスのきいた声だった。

いや、声?

じゃなかった、のかな?

頭に直に入ってきたみたいな感じ。

テレパシーって言うのか。

わかんないけど……

俺を突き飛ばした時に言った

「かい!!!!」

ってゆうのは、声を出した感じだったけど。


ソウジン か?……


ソウジンと言う言葉には、思い当たることがあった。

小学生の時、音読み訓読みみたいやつを習った頃。

友達の石田は、せきでん

小松は、しょうしょう

稲村は、とうそん

そして俺は、操人で そうじん とか言って遊んでいた。

なんか、中国の三国志に出てきそうな感じじゃね~、なんて言って。


ソウジン か


操人か?


って言われたのか?


そうだとしたら、なんで?

俺は、今、自分がなんで夢に入れるようになったのかさえ、なんもわからないでいるのに、あいつは俺を見て、俺のことをわかってるってことなのか?

で、俺のシナリオを書き換えた?

いや、あいつの方が先に予選敗退のシナリオを書いていたのか?

何もわからない。

何もわからないんだから、考えてもしょうが無い。

答えなんか でないんだから。

でもこの状況は、どう判断したらいいんだろ。


操人家のことだとしたら、おやじとおふくろに聞けば、なんか知ってることあるかな。

突然だけど 夢の中に入れるようになってさ、

それが正夢になるんだよ。すごくない?

なんて、頭おかしくなったって思われっか。

でも……

なんだか、無性におやじとおふくろに会いたくなった。

大学入って一人暮らしを始めてから、一度も帰ってない。

とりあえず、週末に実家へ行ってみるか。

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