第14話 俺のチカラは万能ではないな

 高校生の頃から大ファンの女優の赤石玲奈の夢に入ってみよう。

触れるわけでもないから、まぁどんなとこに住んでんのか 見たいってくらいだけどな。

その夜、意気込んで眠りについたが、赤石玲奈の夢には入れなかった。


じゃ、アイドルの立木杏璃。

これもダメだった。


ここまでの実験結果をまとめてみよう。

自分自身の夢には入れない。

自分の身近な人ほど簡単に入れる。

なんてゆうのか、夢のクオリティーが高いってゆうか、鮮明な感じ。

女優やアイドルがダメだったのは、つまり、相手が俺を知っているか、いないかってことかな。

こちらはあちらを知っている。

それだけじゃダメで、あちらもこちらを知っているってゆう状態じゃないと、夢に入ることは出来ないってことかな……


どの程度認知されてれば入れるのかな?

毎日顔を合わせてる学食のおばちゃん。

名前は、知らない。

向こうも、俺の顔は知っているかもしれないけど、名前までは知らないだろう。


その夜 試してみた。

入れなかった。


ってことで、お互いに名前と顔を知っているくらいの関係性が必要ってことか。

ってことは、俺のチカラは万能ではないな。

名前と顔を知っている人なんて限られる。

大学でだって、フルネームで名前知ってる人なんて、何人いるだろうか。


ってか、亜弥の夢に入ろうかな!!

そういえば、俺をフッた次の日から、大学を休学してるらしいな。

噂では、海外旅行してるとかって、ホームステイかな?

他に好きな人ができたって、電話でそう言ってたよな。

まず、それをぶち壊して、傷つけて、ドン底見せてやる!!

それで、やっぱり俺って男が、どんだけいい彼氏だったかを気づかせて、俺に謝って、俺のところに戻ってくる。

で、今までより もっと俺に尽くす、いい彼女になる。

めでたし、めでたし!!

…………って、あほらしい!

だいたい俺は、亜弥とヨリを戻したいって思ってるのか……

違うだろ……

亜弥を痛い目にあわせたいのか?

朱里ちゃんにしたみたいに……

違うだろ……

もう、亜弥のことは、ほっといてやろう。

そもそも、俺がダメな彼氏だったんだから、しょうがない。

自業自得ってやつだろ。

本当にダメなヤツだな、俺。




 次の日、大学に行ったら、テニスのなんかの大会の日本代表になったってゆう、うちの大学の有名人 田鍋泰人がいた。

俺は、ノートを開いて近づいた。

「田鍋さん!大ファンなんです!サインもらえますか!」

あぁいいですよと、気軽に応じてくれた。

「操人奏大さんへって書いてもらえますか?」

「えっ?難しい名前。どんな字なの?」

「操縦席の操って字、操るって字です。そう、てへんの。で、人って字に、演奏の奏、で、大きいって字です。くりとそうたです」

「初めて聞く名前だな。操人ってあんまりいないでしょ?」

「はい。たぶん。あんま、聞いたことないです。ありがとうございました!

田鍋さん!応援してます!頑張ってください!!」

「うん!ありがとう!操人奏大くん、またね!」


さてと、一応印象付けたけど、どうかな?


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