第12 話 はい!夢の実験終了!!

 「朱里、前からちゃんと話さなきゃって思ってたけど、俺 本命別にいるんだ。朱里は若いし かわいいから好きだったんだけど、朱里のこと彼女にバレちゃって、ヤバいから今日で終わりな」

「えっ!!なに?急に変なこと言わないでよ!」

「マジでさ、彼女にちゃんと別れてこいって言われちゃってるからさ。ゴメン」

「ヤダよ!!やだ!!絶対別れないから!!」

「そう言われてもな。そもそも、朱里とは遊びだからさ。もう、ここには来ないから。

今までありがとう。楽しかったよ。じゃーね」

ニコッと微笑んで部屋から出て行った。

 

セックス後からのこの展開はキツイな~!

ってか、これは、俺が考えたシナリオ。

それを彼氏さん、完ぺきに演じてくれた感じ。

俺が亜弥にフラレたのの、逆バージョンって感じだな。

これが正夢になるのかの実験だけど。

夢とは言え、ちょっとキツい展開だったかな?

朱里ちゃん、ごめんね~。

さてと、どうなるかな~。楽しみ。



 次の日、朱里ちゃんが気になっていたけど、俺はバイトが入っていない日だったから、レンタル屋には行かなかった。


そのまた次の日。

夕方バイトに行った。

俺は18時から23時半まで。

朱里ちゃんは、17時から23時半まで。

「おはようございます」

「操人さん、おはようございます!」

いつも通り、明るく元気に朱里ちゃんが挨拶してくれた。

なんだよ。普通に元気じゃん!!

ってことは、正夢にはなってないのか。

つまんな!!

はい!夢の実験終了!!

正夢になることはありませんでした!

柊矢と翔子は、ほんとたまたま偶然が重なって、ほんとたまたま奇跡的に、夢の内容とリンクしました。

はい!めでたし、めでたし!

ってか?


朱里ちゃんは、いつもと変わらず、元気にハキハキと仕事している。

マジでつまんな!

23時になり、店内にはもうお客さんも居なかったから、店内のBGMを消し、店の前のシャッターを下ろした。

レジからキャッシャーを取り出して、店内の照明を消し、キャッシャーを持って奥の事務所に行く。

レジ締め作業を2人でやる時は、1人がお札を数えて、1人が小銭を数える。

だいたい、朱里ちゃんが面倒くさい小銭の方をやってくれるから、俺は札を数えて10枚ずつ束にする。

元々用意してあるお釣り用の5万円を引いた金額が今日の売上金。

それを日報ってノートに書いて、現金と一緒に金庫にしまう。

レジ締めの作業はそんな感じ。

俺も朱里ちゃんもアルバイトだけと、店長に信頼されていて、レジ締めを任せてもらっている。

金庫にしまい、ロックした。


「朱里ちゃん、来週3連休とってるけど、どっか行くの?」

と聞いてみた。

その途端、ピタッと動きが止まった。

と思った瞬間

ワァーー!!なのか、ギャーー!!なのか、なんて言ったらいいのかって感じに泣き叫んだ。

えっ?ちょっと待って!!まさかだけど……

「朱里ちゃん、どうしたの?」

白々しく聞いてみた。

「彼氏にフラレて……

二股かけられてて……

本命はわたしじゃないんだって……

もう終わりにしようって……

わたしはただの遊びだったんだって……」

泣きじゃくりながら、途切れ途切れにそう言った。

「そうなんだ。ごめん」


夢の内容が正夢になった。



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