第11 話 上手い人ってのは動きがスムーズだな

 アパートに帰ってきたのは、1時過ぎだった。

疲れた……

飲みすぎた……

風呂に入る気力もなく、敷きっぱなしの布団に倒れ込むように眠りに落ちた。



わ!!

これ!!

わっ!わっ!わっ!

この感覚!!

昨日の夜の、柊矢の夢と同じような感じ。

ここ、どこ?

女の子の部屋って感じ。


「ね~篤史~!今度のお休みに旅行に行くって言ってたの、まだ決めてないじゃ~ん」

声がして、透明人間みたいに人型の輪郭が、俺の目の前に現れた。

その透明に段々と色がついていくような感じ。

あ!朱里ちゃんだ!!

ここは、朱里ちゃんの部屋なのか?

ってゆうか、朱里ちゃんの夢の中?

目の前にいるけど、朱里ちゃんには俺は見えてないみたい。

昨日の、柊矢と翔子もそうだった。


「あ~、それな~」

男の声がして、さっきと同じ様に人の形になった。

あぁ、この人は朱里ちゃんの彼氏。

レンタル屋にも何度も来ていて、俺も顔見知りだ。

5個くらい年上の会社員の人。

ちょっとチャラい雰囲気もあるイケメンさんだ。


「あとで話あるんだけど、その前にとりあえず

やりたい!」

「もう!篤史ってば~!じゃ~シャワー浴びてくる」

「いいよ!そのままで!」


いきなりはじまっちゃったけど、なんなん?

俺、これをずっと見てなきゃいけないの?

キツいって!

目の前でセックスとか。

うわ~!!朱里ちゃんいいカラダしてんな~!!

こんな胸デカかったか?

ヤベ!勃起しちゃった!!

わ~~、AVみたいに3Pしたい!!

に、しても、なんだよ!これ、マジでムカつくな~!!

見せつけやがって!!

触ってみようかと思って、手を伸ばしたけど、すり抜けてしまった。

さわれないのか……

ってか、俺 幽霊っぽくね?

魂 抜けて出ちゃってんのかな?

幽体離脱みたいな?

仕方なく、しばらく2人のセックスを見学させてもらうことにした。

上手い人ってのは、動きがスムーズだな。

体位の変え方とか。

俺のセックスとは大違い。

へぇ~っ!入れたままで、向き変えるとか、すげー!!

いや、AVで観るのと違って、生で見るとわかりやすいな~。

あぁ、腕を掴んで、はぁー!!そっか~そうゆうふうにね~!!

マジで勉強になるわ!!

に、しても、朱里ちゃんのあえぎ声、超エロい!

マジで!セックスしてーーーー!!


「うっ」

と小さく声をあげて、彼氏さんがモノを抜いて、朱里ちゃんの腹の上に射精した。

デカっ!!

そう言えば、ゴムつけてなかったのか。

腹の上に出した精液が、横っ腹に流れていく。

キスをして、彼氏さんが微笑んだ。

かっけー!!

って俺、誰目線だよ!!

彼氏さんが、シャワーを浴びに行った。

朱里ちゃんは、横になったまま、手を伸ばしてティッシュの箱を取ると、シュッシュッシュッと3枚出して、腹の上の精子を拭き取った。

なんかグッタリしてる。

あれだけハードなセックスだとやっぱ疲れるよな。

長距離走ったくらいに。

ってか、彼氏さんは、あんなに激しく腰動かしてたけど、全然平気なのかー?

すげーな!!

体力あんだな~。


彼氏さんシャワー浴びて出てきて、スーツに着替えた。

あれ、最初からスーツだったっけ?

ネクタイまでしてる。


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