第6話 エッチは下手くそな人だった

 バイトが終わりアパートへ戻ると、部屋の灯りがついていた。

もしかして、亜弥が来てるのか!!

そう思って勢いよくドアを開けた。

「亜弥!!」


玄関に亜弥の靴はないし、誰もいなかった。

バイトに行く時に、慌てていて、電気を消し忘れていただけだったのか。

はぁ……なんだよ……


部屋に入ってすぐのところに、コンビニの袋。

昨日買ったハンバーグ弁当とヱビスが2本とシュークリームが2個入っていた。

冷蔵庫に入れてなかったけど、11月だからまぁ大丈夫だろう。

電子レンジに弁当を入れてチンして、テーブルに置き、ヱビスに口をつけた。

うっま!!

さすがにヱビスだな!!高級な味!!

弁当をものの5分で食べ終わり、2本目のヱビスを開けた。

『たくさん食べるんだね』

初めて亜弥と一緒に学食で食べた時に、亜弥が言った言葉がふいに思い浮かんだ。

そうだな 結構食べる方だよな、俺。

明日から、学食でまた1人メシか……

亜弥は誰と食べるんだ?

好きな人ができたって、それ、頼むから同じ大学のヤツとかやめてくれよ……

あ~~~~あ。

好きな人か~。

いつのタイミングで出来たんだよ……

最後のデートはいつだったか?

先週の土曜日だよな。

亜弥が観たがってた映画を観に行って、ショッピングモールで亜弥が服を買うのに付き合って、パフェが食べたいって言うから、スイーツのお店でパフェ食べて、で、帰ってきた。

あーー!!なんで、あの日あの後ラブホに行かなかったんだーー!!

最後のデートになるなら、やっとけば良かった……

って、あはは……

何考えてんだかな俺……

俺は、そんなに性欲が旺盛な方でもない、と思う。知らんけど……

だから、毎回毎回デートの度にエッチするってことでもなかった。

なのに、亜弥と別れて、当分エッチはできないのかって思うと、無性にしたくなるのはどうゆうことなんだろう。

俺は、亜弥が初めての彼女だったし、亜弥と付き合うまで童貞だったから、亜弥としかセックスしたことない。

あんまり詳しく聞くのもどうかと思って、亜弥に聞かなかったけど、昔の彼氏が~って話をポロっとしたことが何回かあった。

昔の彼氏が~サッカーやってたから、応援に行ったりしてたけど、超 日焼けしちゃって大変だった~!!

の、話と、

昔の彼氏が~ギターやってる人で~、影響されてギター買ったんだけど~、わたし全然できなくて~、おまえセンスねーよ!!って呆れられて~!!

って。

この、サッカーの彼と、ギターの彼は、たぶん同一人物じゃないよな?ってことは、俺は3人目の彼氏なのか……って、なんてゆうのか、元カレに嫉妬みたいな気持ちになったり……

俺のことは、今度の新しい彼氏になんて言うんだろう……

痩せてるけど、たくさん食べる人だった!!

エッチは下手くそな人だった!!

とか言われんのかな……

はぁ……


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