第2話 ってゆうか腹減ったな~

 不思議なくらい、なんてゆうか 爽快だった。


チャリにまたがり、ちょっと遠いけど、隣町にある室内プールへ行った。

ゴミ焼却場の隣りにある施設で、とにかく料金が安いし、温水プールだから こんな初冬でも寒くなくていい。

亜弥とも何回もきたことがあるプールだ。

別に 思い出に浸りにきたのではない。

ものすごく、なんだか ものすごく 泳ぎたかったんだ。


市営のプールにしては、ここはグレードが高いと思う。

流水プール、波の出るプール、25メートルプール、ちびっこプール、2種類のスライダー、ジャグジーとサウナもある。

俺は、小さい時にスイミングスクールに通っていたし、わりと泳ぎは得意な方だ。

でも、高校の体育の授業以来、真剣に25メートル泳いだことはなかった。

颯爽と飛び込んで泳ぎたいところだったが、ここは飛込み禁止なので、プールの中から、そっと壁を蹴って泳ぎ始めた。

ターンして、ターンして、ターンして、100メートル泳いだなってとこまではターンの数を数えていたけど、そこからは考えずに ただただ泳いだ。


『ピーピロロン~  ピーピロロン~

休憩時間です。プールからあがって下さい』


館内放送を聞いて、プールからあがった。

なんとも ぎこちない歩き方でベンチに向かい 腰掛けた。

水の中と、外とでは、こんなにも重力が違うのか!

これは、宇宙飛行士は大変だ~、なんて どうでもいいことを1人で考え クスッとした。

水分補給をして、10分の休憩時間が終わってからも、夢中で泳ぎまくった。


『ピーピロロン~  ピーピロロン~

休憩時間です。プールからあがって下さい』


さっきと同じメロディでプールからあがった。


あぁ疲れた~!ってゆうか腹減ったな~!


って心の中で思ったのが、口に出していたようだ。

すれ違った子供連れのママさんが、ビクッとした顔で俺を見た。

あっ、俺いま ひとり言 言ってたのかな?

ヤバいヤツと思われたな……

小さい子供を連れてるお母さんは、特に危険なことに敏感なんだろう。

世の中物騒な事件が多いしな……

頭のおかしなヤツもいっぱいいるしな……


 プールを出て、駅前の通りへ行き、チャリを停めて、最近のお気に入りのラーメン屋へ入った。

大盛のチャーシュー麺に半ライスと餃子3個のセットを頼んだ。

すっげー運動したから、カロリー補給しなくちゃな。

俺は、結構食べる方だけど、今まで太ったことはない。

太らない体質かな。

でも、おやじも若い頃は痩せてたってゆうけど、俺が覚えてる限りは、ずーっと前から小太りなオッサンだ。

ってゆうか、俺 記憶力悪いのか、小学生くらいからの記憶しかねぇけど。

あ~あ、俺もおやじみたいに中年太りとかすんのかな~。

嫌だね~、なんて半笑いしながら完食した。


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