他人の夢を操れるチカラって地味に無敵じゃね?

彼方希弓

第1章 第1話 えっ?今フラレたの?

 『ほかに好きな人ができちゃったから。

もう、ラインとかしないでね。バイバーイ!』



フラレた?

これって……

俺 フラレたの?


ものすごく さらっと ふんわりとした文面に

まったく 事態がのみ込めなかった。

まるで、明日の待ちあわせの時間に、ちょっと遅れちゃうけど……ってくらいの感覚。


なんで?


ライン

〈メンバーが いません〉


って 何?


電話をかけてみた。

あっさりと繋がった。

「なんで?どうゆう意味?」

「どうゆうもこうゆうも、別れようって話!

このあと、もう着拒だからね!!」

ガチャッと切られた。


この1年半の間、亜弥にすごく振り回されてきた。

いつも、亜弥の予定に合わせて行動した。

なんでだよ!!

ほかに好きな人ができちゃったって

それ、ほんとの話かよ!!

それとも、ただ俺をからかってるだけなのか?

今日は、エイプリルフールじゃ、ないよな……

11月だし……


もう1度 携帯鳴らしたけど、留守電に代わってしまった。


「亜弥!ウソなんだろ?からかってるだけだよな?

これ聞いたら、電話くれよ!待ってるから!」



亜弥からの電話を待って、一晩中一睡もできなかった。

暗い部屋で、スマホの画面が明るくなるのをただただ待っていた。


  

 カーテンの隙間から射し込む光で、朝がきたことを知った。

カーテンを 勢いよく開けると、あまりの眩しさに目がやられた。

薄っすらと目を開けて、徐々にならしていく。

夜中ずっと降り続いていた雨も、いつの間にか

やんでいて、隣りの家の赤い屋根も、アスファルトの道路も、街路樹のイチョウの葉も、キラキラと輝いている。

窓を開けて、ひんやりとした空気をおもいっきり吸い込んだ。

朝日が俺に向かって、光を射してくるようだった。


昨日までの世界は終わった。


今日これから 新しい世界がはじまる。


なんだか そう思った。

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