おい、肝、もうやるなよ?
「申し訳ありませんでした」
「次したら串刺しにするわよ!?」
「はい。肝に銘じておきます」
おい、肝、もうやるなよ? え? 私ではなく筋肉が悪いって? 馬鹿野郎、筋肉は偉大筋肉は全てを解決ーー
「ちょっと、あんた、ここで止まってても仕方ないから早く動くわよ」
「あ、はい」
さて、馬鹿なことしてないで動きますか。
「んで、どうする? さっきのボタンみたいなのもあるけど、押してみるか?」
「これ以上弄って、状況悪くならないかしら?」
「すでに最悪だからこれ以上悪くならないんじゃね?」
「……それもそうね」
ま、なるようになるだろうと、押してみたが特に何も起きない。
「何も起きないな」
「みたいね」
さて、これで戻れないことは確定したわけだが……外に出ないとダメだよなぁ。
「アリス、索敵系のスキルとかあるか?」
「ないわよ。あいにく戦闘系のと多少、治癒魔法が使える程度。そっちは?」
「戦闘系と隠密系……あとは何の役にも立たないスキルのみ」
「……そして二人ともDランク……と」
改めて見ると中々、絶望的だね。
「ま、ここにいても仕方ないし、出るか。俺が先に進む。しばらく待っていてくれ」
「わかったわ」
アリスの返事を聞いてから、気配遮断というスキルに意識を集中してみる。
……発動してるのだろうか? これ自分じゃわからないのでは……
まあ、後ろから「消えた!?」って、聞こえたから、多分大丈夫なのだろう。ぶっつけ本番だったがうまく行ってよかった。最悪、剣気頼りの全力疾走をする羽目になっていたところだ。
さてさて、まずは外に出るか。小部屋の扉をゆっくりと開け、通路に出る。
通路は先程通っていた通路と特に変化はないようだ。というか、同じ通路と言われても信じそう……ほんとうにちがうのだろうか? まあ、レオたちいないし、違う通路なのだろう。
見える場所には扉が左右に等間隔にいくつか存在しており、右奥に上に向かう階段があった。その反対の左奥には下に降る階段があった。通路の広さは学校などの廊下の2倍くらいの広さなので戦闘になっても十分な空間はあるだろう。
とりあえず、部屋の方を見に行くか? いや、ゴブリンがいる可能性があって危険か……
と、そんなことを考えていた時、ガチャリ、と嫌な音が左から鳴った。
俺たちが飛ばされた小部屋の一つ隣の扉からゴブリンが二体出てくる。
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