突然の転移はトラウマである
「何かしらこれ?」
どうやらアリスが何か見つけたようで、小部屋の出入り口あたりで何かを見ている。
「何を見つけたんだ?」
「これよ」
アリスが見つけたのは壁に描かれたボタンのようなものだった。というか、これ、汚れで完全に壁と同化してるのによく気づけたな。
と、感心しているとアリスが汚れを落とそうとしたのかボタンに触れた。
その瞬間、床がいきなり輝き出した。
「「な!?」」
流石に触れた瞬間、発動するとは思わなかったぞ! クソが!
とりあえず、部屋から出ようとするが足が動かない。
「どうしたの!? なんだ、壁!?」
外からレオが部屋に入ろうとしてきたが扉は開いているのにまるでパントマイムでもしているかのような動きをしている。なにか、壁のようなものがあるのだろう。
うむ。レオの様子が少し笑えて、冷静になってきたぞ。あれから床の光は魔法陣のような形になっている。さてさて、これはどんな罠なのかね…………転移か? あり得るな。
「アリス、よくもやってくれたな」
「ごめんなさい! これどうなってるの!?」
「おそらく転移じゃないか? レオ、転移だったらどうにかして戻るか後で合流しよう」
「「どうしてそんなに落ち着いてるの!?」」
「いやだって、足動かねえから逃げれねえもん。逃げれないなら、諦めるしかなーーハッ! デジャブ!?」
そうだった。俺が死んだのはこれが原因だ!?
「やばいやばい! ど、どどどうしよう!」
「反応遅いのよ!」
慌てふためいてる間にも魔法陣は構築されていく。そして、輝きが増してきた。
本当に遅いな。妙に冷静ながらも慌てふためいた結果、
「え!? 何すんのよあんた!」
結論、アリスに抱きついた。
弁明しよう。いやだってね。前回、俺だけ吹っ飛ばされてマジで怖いんだよ。本当、死なば諸共ーー間違えた旅は道連れ世は情けってね。よし、弁明終了。
光が視界を覆い、一瞬の浮遊感を感じたかと思えば、光が消えた。
そして視界に映るのは、アリスの頭と壁。アリスを離しつつ周囲を見渡す。
「ふむ、二人がバラバラになるとかではなかったみたいだな。む? 扉が閉まっているな。先程の部屋とは違う部屋ということかな? 運が良ければ同じ階の別の部屋という可能性もーー」
「おい」
「ーー流石にその可能性はないか? 見た目的には部屋は同じということから部屋自体が移動した可能性もあるな。しかし、ドアの開閉が異なることや若干、壁の汚れ具合が異なることかーーボゲラァァァア!?」
「話聞きなさいよぉぉお!」
抱きついたことを有耶無耶にしようと話し続けたけどやっぱダメみたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます