アリスvsディーネ

「二人とも準備はいいですか?」


 シンハの審判の元、模擬戦が行われることになった。

 まずはアリスとディーネ(青色の騎士)とが戦い、次に俺とレオの順だ。戦わなくてもいいんだよ? 別に。え? 強制ですか? 流れで後方支援できるかどうかも確認しておく? あ、はい。

 ふむ、アリスは槍に革鎧でディーネは長剣と丸い盾(タージ)に全身鎧か。


「では、はじめ!」


 シンハの合図とともにまず、アリスがディーネ目掛けて突っ込み、手に持つ槍を突き出す。


「ふっ」


 アリスの槍は盾に防がれ、流される。それを読んでいたのだろうアリスは剣の射程外のところで止まると、槍で連撃を放つ。

 その連撃をディーネは顔色を変えずに捌き続ける。

 こう言うと、アリス弱くね、とも思うが、実際のところ、槍の一撃一撃が結構速いし、重いと思われる。その証拠に少し、ディーネの左手が少し痺れてきているのか少し反応が鈍くなってきている。模擬戦ということもあり、手加減もしているのだろうが、連撃のせいで近づくことも難しいのだろう。

 と、詳しく考えてみたが、一つ言いたい。マジであの身体能力なんなの? めっちゃ速いんだけど。手元とか、すごいよ。ブレてるよ。おかしいよ。

 槍使えるって、すごいなぁ……俺、槍だけは苦手なんだよね。母親に唯一、練習しなくていい、って言われたぐらいだからね。


「そこまで!」


 おや? どうでもいいこと考えてたら、終わった。決着はついてないので、体力を使いすぎるの良くないって判断なんだろう。


「うん。すごいね。ディーネとここまでやりあえるなんて、そんなにいないよ。実力的には僕らと一緒にダンジョン探索してもいいんだけど……」


 と言いながら、レオは俺の方を見てくる。


「俺なら、他の後方支援のパーティと一緒に後方支援してもいいぞ。それにあそこら辺はよく行くから、別に一人でもいい」

「ほら、こいつもこう言ってるし、私もダンジョン探索に行ってもいいでしょう?」

「……そういうことなら。みんなもいいかな?」

「いいなじゃない?」

「私もいいぞ…なかなかの槍さばきだった」

「私も大丈夫です」


 よしこれで一件落着。速いとこ、ダンジョンに行こう。だから、レオさん、俺の肩から手を退けていただけないでしょうか。


「どこに行くの? リョウくん。まだ模擬戦してないよ?」

「……はーい。じゃあ、速いところ終わらせようか」


 面倒だなぁ。

 ぶつくさ言いながらもある程度の距離をとったところでシンハからの合図を待つ。


「二人とも準備はいいですか? では、はじめ!」


 レオとの模擬戦が始まった。

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