駆逐してやる

 天城の両親の名前を変更しました。この変更で特にストーリーに変更はありません。変更が生じて、申し訳ありません。

 2月24日 誤字を修正しました






「あら? 私はパーティに寄生するクズと聞いたのだけれど」


 おや? この声はリンカーズのエルザだったか?


「え、あんたそんなことしてたの?」

「いや、してないけど……?」


 だから、その露骨に軽蔑した視線をやめろください。


「私は受付嬢に貢がせているヒモと聞いたな」


 …………………………? ふむ。


「私は近隣住民に暴行を働くクズと……」


 …………………………? ふむ?

 あれ? おかしいな。何故、そんな根も葉もない噂が?


「そんなことしたことないんだが……」

「あら、でも火のないところに煙は立たないとも言うわよ?」

「パーティに寄生云々と近隣住民云々はマジで分からんが、受付嬢に関してはシーラさんと仲が良いからかな? あの人、受付じゃないけど」


 シーラさんは受付じゃないし違うか? けど、俺、シーラさんとギルマスとしか喋ったことないんだが?

 パーティに関しても誰とも連んだことないし……近隣住民に関してはマジで心当たりない。


「はい! 一旦この話終わり! ダンジョン探索についての話をしよう!」


 レオの鶴の一声により、一旦(できればこのまま二度としないでほしい)、俺の悪評については傍に置き、ダンジョンについて話を進めることになった。


「じゃあ、僕から今回の概要について説明するね。みんな知ってるとは思うけど、ここにいるリョウくんがダンジョンを発見した、ダンジョンは放っておくとスタンピードを起こし、近隣の街や村に被害が出てしまうため、僕らが対処することになった」

「そこのクズが本当のこと言ってたら、そうね」

「エルザ、茶々を入れない」


 こいつ(エルザ)、嫌いだ。


「ごめんなさい」


 睨むな。俺のせいで怒られたみたいな目をやめろください。


「話を戻すよ。今回、この街の騎士団の力は借りれそうにない。帝国が最近、軍事活動が活発化している影響でそちらの警戒に割いているみたい」


 なぬ!? 貴族の御守りではなかったのか……そうとも知らずに酷いことーー


「と言うのも嘘ではないだろうけど、辺境伯の護衛に力を入れたいんだろうね」


ーー訂正、酷いこと言ってなかったわ。

 そんなこと考えてたら、レオが急に神剣な顔つきになった。


「そして、今回のダンジョン騒ぎでこんなにも騒いでいるのは、最近の冒険者になったばかりの新人が失踪していることに関係している可能性があるからなんだ」

「つまりはダンジョンのゴブリンに誘拐でもされてるってことか?」


 俺の問いに、一度うなづくとレオは続ける。というか、そんなことになってたんだな。知らなかった。


「死体や装備品なども特に見つかっていないことから、その線が高いのではないかって、ギルマスたちと話してきた。前々から、ゴブリンたちに誘拐されてるのでは? って話は出てたんだけど、周囲に巣らしきものもないってことで、否定されてたけど、今回の話で現実味を帯びて来たみたい」


 何故、その時にダンジョンを見つけれなかったのだ。ん? 待てよ。ゴブリンといえば、雑魚の中の雑魚、上位種は違うが弱い。新人の中でもゴブリンを討伐する程度の実力があるもの(俺みたいな)もいるはずだ。それなのに、何故、ゴブリンにつなげた?


「何故、ゴブリンが疑われたんだ?」

「え? ああ、ゴブリンが草原の薬草を採取していたところを見たって噂が流れてたからね。多分、それじゃないかな」


 …………よし、あいつら駆逐してやる。一匹のこらずなぁ……

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