間話 とある神

 それはいつの間にかそこにいた。

 それは生まれた時から、世界のシステムを管理していた。

 人はそれを神と呼んだ。

 それーー神は長きにわたる人の営みの下、自我とも言えるものを獲得していた。

 神にとって、自我を持つことは苦痛の他なかった。なぜなら、悠久の時をなにもない、ただ、世界を回すためのシステムを管理するだけ、異変など、生まれた時から、起きたこともない。ただただ、退屈。

 神はふと、自身の世界と繋がりが強い別の世界を覗いていた。そこで、最近、自身の世界で勇者と呼ばれていた存在の子供を見つけた。どうやら、こちらの世界にくる因果を持ちながらも、魔法陣の術式のせいで、死にかけているようだった。

 それは、神の気まぐれであった。その子供を自身の世界で転生させた。自身の暇を潰してくれることをきたしたためであった。

 そして、子供の反応を見て、当初の暇を潰す、という目的は達していたが、この判断が神を狂わせる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る