第27話 流れと知識

「さて、と」


琴音が寝静まった自宅で、俺が前世のゲーム Phantom killing の世界と気づいてからノートに書き込んでいたシナリオを一年ぶりに確認していた。


前半カセット


本編前

300以上前

第三次世界大戦 通称 魔法大戦アーツ・ワールド

第四次世界大戦 通称 幻影戦争ファントム・キリング


アーツロスト及び、コラプスによる人類生息区域の激減。全人類数三割減少。


11年前

Pandora奪取計画による主人公誕生☜主人公の仲間の父死亡


2年前

国立 龍刻学園 において未曾有の幻影災害が発生。後に、テロ組織 幻想の獣 による犯行と発覚。☜琴音が攫われたタイミング?


ここまではもう終わっている。


1年半前

衛ノ島支部に、スパイ侵入による 幻想の獣 の構成員立て篭もりが発生。

幻葬士死傷者6名 

これを特務部隊が解決?☜もしかして十二秘奥かも

幻葬士協会の幹部が犯人☜犯人不明 注意


本編 主人公16才 六月の夏休み前から? 開始する。

ここまでに、幾つかのテロによって学校が合併される。

主人公の幼馴染と主人公が通う学校もその一つ。夏休み前のテロによって、俺の時と同じようなことが起きる。これを主人公が解決。 生徒死傷者4名

学校は確か当面無くなる。☜課題とかの描写無し


この時、幼馴染と仲間が加入して以後主人公と第13特別独立部隊とかいう長ったらしい名前で初期パーティーを組むことになる。


夏休み 7月 海外の国で王女が殺害され、ゲーム内でニュースになった。記憶あり。

この時に、確かパーティーメンバーで初任務。壁外調査でゾンビ?だった気がする。

 

8月 2回目の任務は海外遠征。そこで初十二秘奥の名前が登場。フレーバーテキストで以後出てくる。内容は確か、ピラミッドの探索と触手?☜記憶を思い出し次第書き込む


9月〜10月 自由行動期間。デートとか出来た。レベル上げしないと詰む。☜主人公が万が一鍛えてなければ俺が鍛えることも考慮する

☜この期間で活躍すると十二秘奥が何故か知らないけどPandoraを見つける。


11月 外国で、護衛任務。☜ミスると仲間になるヤツを庇って師匠死亡。最終決戦の総戦力が減る。


12月 本部で新装備開発で、ドラゴンが完成し暴走。十二秘奥がそれを止めて、代わりの装備が主人公に送られる。


1月上旬 外国で二度目の護衛任務 ☜ここで確か幼馴染が攫われる。

下旬 幼馴染救出のため独断行動 ☜ 主人公のソロパート。時間経過でバッドエンド。

追記 条件を満たせたトゥルーエンドの場合のみ十二秘奥の1人が情報提供してS級の人間が1人作戦に加わる。有原琴音も救出される。


2月 謹慎期間という名の自由行動。

飛空艇入手。

本部で新装備入手可。☜フレーバーテキストで十二秘奥の名前が出てきた記憶あり。


以降は、後半カセットノート参照

 

とこんな記載がびっしりとノートのページに書き連ねてあった。他のページにはマップとアイテムの一覧がある。


これを書いたのは、修行を始める前。つまり10年以上前だ。


昔の自分には感謝しかない。自然と口角が上がる。


俺と彼女の差を埋め得る唯一の武器があるとすれば、それはきっと未来の『情報』だ。


さて、直近の問題はやはり衛ノ島支部の立て篭もりだろうと俺は考える。何事も目の前から解決しなければいけない。

まず、前提として俺の行動がある。これによりノートに書いてあるシナリオと内容が変わって職業体験と被っている。


一応ノートが確かなら、十二秘奥として暗躍することになる。


そこまで考えて、俺はノートを閉じた。長時間の考え事で身体が硬くなったのを感じ、軽く上に伸びる。パキパキと体が小気味良い音を立てた。ついでに汗を流した方がいいかもしれない。

そう考えて、俺はシャワーを浴びに行くことにした。

着替えとタオルを持って自室から出る。

廊下の電気は既に消えていて、明かりがなければ何かに躓きそうだ。


シャワーから出る熱い水が全身を濡らして、滴る。

(残された時間を生かさなきゃな)

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