第20話 廃棄都市に巣食う者達
「ここまで拠点にされているなんて……」人の気配を感じない廃棄都市の路地裏に真の声が静かに漏れた。
『都市の広さから考えるとかなり内部構造が変わっています。ここを足掛かりにされると……』
かれこれおよそ1時間。ここまで来た真と音声と現場の画像を見た七海、この二人の意見は同じ結論だった。
『街が陥されかねません』「恐らくは……」
そのくらい街の変化は、一目瞭然だった。
そこかしこに機械兵士ドールが立ち、果てはクローン兵までいる。そして、それらを統轄する人間の戦闘員。
他にもコンビニ店あった場所は倉庫に変わっていた。その中はきっと兵器が山のよう積み上げられているだろう。
もし、支部の人間が異常に気付いていなかったら……
そう思うと、背筋に冷たい汗が流れる。
「計画を奪取する」「頼みます」
コッコッコッ
すぐさま、身体強化で地面と壁を蹴ってビルの上に飛び乗った。
下から足音と声が聞こえる。
「ん、誰ー居ーのか?」「見ー違いーーないのか?」「そうーー廃ー都市に態々ーー奴がーるか」姿を確認するにどうやら3人組の人間らしい。だが全員とも銃に刀を持っている。
(こいつら全員が強化兵……か)
幻葬士の敵として有名な幻影の牙、或いは獣と称される組織の強化兵達は全員が刀を持っている。
つまり真の下にいる連中はそういう奴らだ。バレたかもしれない。そう思って僅かに身を乗り出してより声を聴こうとする。
「そうだよな、ドールの見間違いか?」「ーー飲み過ーだろ」「そうーぞ」「だー」何やら呑気な顔で楽観的な会話をしているが全ては聞こえてこない。ホッと息を漏らした。
次の瞬間までは
「んーいや。やっぱり上になんかいるわ」
ゾクリ
背筋が逆立った。
無詠唱ですぐに消える障壁を出して、壁蹴りの要領で勢いをつけて離れる。
パキ ガキ
真が身を乗り出していたあたりに弾丸が飛び込んできた。
理由は分からないがバレた。まだ増援は呼ばれていない。だが、一刻も早く始末するしかない。
(大丈夫だ……殺せる。殺せる筈だ)僅かに震えた手を握りしめる。すぐさま鋼糸を取り出して装備する。
「《
幾つか鋼糸を浮遊体の間に緩く張って手に繋げる。
タタッ
背後から、着地音が聞こえた。相手も同様に魔導を使って登ってきたらしい。
だが、その場にはいないように見える筈。相手には光学迷彩とはバレないようだ。
「あれ、いない?まさか逃げられたのか」「本当に敵なのか?」「取り敢えず、報告するか?」
何でバレたかは分からないが……
(報告させる訳には、いかないんだよ!)
鋼糸を先の魔導を使って、通信機器に手をかけた人間の首に結ぶ。バレてない
他の兵士は後ろに一歩下がればトラップにかかるように浮遊体の位置をズラす。
「取り敢えず報「一人」ギャッ」
繋がった糸を、一気に胸元に手繰った。
あるべきものを失った肉体から血が噴き上がって髪にかかった。
ドサッ
その鉄臭さに胃液が込み上げる。
「A-25!?」「なにいっ」流石の強化兵も目の前で何の予兆も無く味方が斃れたことに動揺を隠さず一歩後ずさった。
けれど、そこは既に糸を軽く張っていた場所だ。手元に体重が掛かった。それを感じつつ思い切り手を上に振り上げた。
ザシュッ
「6人目か……」
ーー追記ーー
9月30日
更新場所を間違えていました。読みづらくなってしまい申し訳ありません。
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