第15話 影の部署 誕生!!

 「さて、よくもやってくれたね、A級幻葬士の《ミラージュチェイン》?」青筋を立て今にもブチっと音を立てて切れそうな怒りを纏った神楽が真に対して言葉をかける。


 「よく言う、受け身を取っていたのに気絶したお前が悪い」いかにも神楽が悪いという顔で指摘すると、そんなんで前線の指揮官務まるのか?といった顔で真は神楽の怒りの火を煽る。


 「それは、こっちの台詞だね!一体全体、誰が魔導ミサイルを透明にしてアゴ狙ったりしたんだろうね。お陰で気絶したよ!」正確には針で、真が投げた針には記憶を若干改竄させる効果を持つ薬品が塗られていた。結果、神楽は自分はミサイルで気絶したと思った発言となっている。


 「あれに気付かないあんたが悪いだろう」そして、投げた針を忘れたことを言葉に含ませた対応をする真は神楽に悪びれもせずにさらりと記憶改竄を話した。「薬品の味はどうだ?」「ちょっ!なんて物を使ってくれたんだい⁈」


「あのいい子だった真くんが……まぁ、神楽さん相手ですしね」なんとも言えないことを言い出す七海。


 「昇格したらこき使うことにするわ」「はぁ、俺の歳を考えてくれませんかね?」


 「あの、結局のところ、師匠の正体を教えて貰っていいですか?」

 (あ、不味い有原さんのこと忘れてた。どうする真⁉︎)(どうするもこうするもないでしょう。良いですよ)互いにアイコンタクトで意思疎通を取る。

 「あ、あーそれね、本名 鏡野 真 歳は……言っていい?「駄目だ。琴音が同僚になるのが確定してからだ」年齢不詳「その言い方はないだろう⁉︎」年齢は10代 得意な魔導は……いいの?「勝手にしろ、駄目なら口を挟む」どうも、適正を持つ風と無属性で 出身は「(^-^)駄目⭐︎」……ごめんね、ちょっと彼の立場上無理みたいだからこれくらいしか話せない」


 「成る程、ありがとうございます。では改めて、真さん、貴方の弟子にさせて下さい!」惚れ惚れする笑顔で言い切った琴音。それに対して真は内心、非常に困ったが流石に危険な目に遭わせない思いで強く言葉を返す。「駄目だと「ああ、それね、いま送られてきた指令の関係上無理だね」言わざ、何?」途中でふと、思い出したように口を挟んできた神楽に驚く真。


 「どういうことだ?神楽さんはいいので七海さん、説明をしてください」


 「えー、では、端的に申し上げて、上からの圧力です。他にもー」普段と違って、真面目な話になった七海は分かっている事実を真達に伝えていく。


 「はあ⁉︎」「あらら」「えっ⁉︎」三者三様の反応だったが聞いていた全員の認識は一致した。

 

 『結果が結果だからか‼︎』改めて、これまでの話を振り返って考えて欲しい。


 まず、真だ。


 13歳で幻葬士として立派どころではない大きな戦果を挙げている。そして、今日も幻影領域を一人で破壊した。


真を昇格させて、より良い装備を揃える権限や、今後の作戦でのサポートの為にも真の昇格もとい、権限の拡張を行わせたい。


 次に、琴音だ。


 龍刻学園という真も通うこの地方で最高クラスの学力を誇る国立学園で戦闘訓練は行われない中学一年生にも関わらず、真が到着するまで一人で幻影を相手にしていた戦闘能力を持ち。尚且つ、特殊な魔導持ちである。最もこれはまだバレてはいないが……。


 そして、神楽だ。


 今回の事件で活躍もとい、目立った二人と関わりがあり、特に真とはよく関わっている。そして何より真の直属の上司として前線で行動しており、事件発生からすぐにマスコミを対応する事務方能力を持っている。極めつけは、優秀だが欠点が多いこの支部の人材からの信頼度だ。


 総じて、彼らは優秀過ぎた。


 そして幻葬士協会組織の上層部はこう考えた。 

 『神楽くん達を昇進させられんかねぇ』『うむうむ、確かに彼らの持つ能力は一纏めにして扱えれば我ら幻葬士にとってもより良い筈だ』『十二秘奥の件に良いかもなー』『『それだ!』』 『よし、ならば神楽の持つ特務官房長官としての役目を変えて特務部隊の《十二秘奥》を作り権限を増やせ!』と、要するに超強力な爆弾という名の部隊を抱え込ませるのに丁度良いと判断されたのだ。


 因みに元の役割は幻影領域が都市で出現した時やテロの対応や各国政府との交渉と重要度は高い。


 「という訳ですね」その言葉で七海は話を締めくくった。その顔は、何故かニコニコと何かを楽しみにするような笑顔だった。


 「し、師匠……これから私をよろしくお願いします」意図せずして世界的な組織である幻葬士協会に所属することになった琴音だったが、どちらかと言えば真と一緒になれることがほぼほぼ確定したことが嬉しいらしい。こちらも七海と同じように晴れやかな笑顔だった。


 「はぁ、こうなると断れないしな。師匠の役目も了承する。これからもよろしく頼むぞ琴音」(全くとんだ原作ブレイクだよ、ブレイん?待てよ、原作ゲームのphantom killersの最終決戦で再会した時の一枚絵では確か重武装だった……っけ?いやでも協会に保護されてからの話だし…うーん)


 「やっぱり、真くんは堅いなあ。ま、上司として頑張るね」

 

 「いやあ、こんな部署に所属できるなんて。七海は頑張ります!」


その場にいた全員がこれから先、一緒に働くことを考えていた時だった。


 ウィーン……チン


 突然エレベーターのような音が床下から聞こえた。


 だがここは防音加工されている会議室で、何より近くにエレベーターは無い。


 この場にいる全員が聞いていたらしい全員顔を見合わせる。


 特にこの中で戦場に立つこともある3人は顔をアイコンタクトで会話をする。

(なあ、ここにエレベーターなんてあったか?)(いや、なかったはずだよ)(そもそも、聞こえる筈がないっす)互いに視線を交わして、頷く。


「《創造:刀クリエイト:ブレイド》どうぞ」「どうも」「いや〜一体何処から潜り込んだんっすかね?」


 そして、琴音を除く3名が互いに戦闘の用意をして正体不明の存在が来るのを今か今かと待ち構える。


 シュー


 「あら?」「どゆことかな神楽さん?」「うそ、内田さん?」


 「おや、ここが新しい部署の部屋かな?」内田がどこからともなく柱から出てきた。


 「特務部隊所属、《十二秘奥》咎学者 内田 晃誠 本時を持って着任する」


 「へっ特務部隊?」「嘘ぉー」「おぉ、あんな機能が」「内田さんが?」順番に真、神楽、七海、琴音だ。


 特に真は驚きが隠せなかった。何せあの神楽ですら知らなかったのだ。当然、内田に問い詰める「内田さん。これは、どういうことか説明してください」「やれやれ、かの天才と称されるミラージュチェインがそんなことを聞くのかい?まぁ、答えよう。簡単だ、君達が思うより僕の仕事は特殊だっただけだ」そう言い切った内田だが、彼が続きに放った一言が更に真達を驚かせる。

 

 「それに、そっちの方にだって、特務部隊所属者がいるじゃないか」七海の方に視線を向けて言った。


 「いやあ、ただのオペレーターなだけっすよ内田さん」「ほう、仮にもコードネーム マスターオペレーター以外のもう一つを持っているのにか。それは面白い冗談だ」


 バッと今度は七海の方に視線が飛んだ。「いやぁ、照れるっす」内田は何やら凄まじいコードネームを七海が持つと聞こえたが、それよりも……。


 重症だったのは神楽だった。余りにも周囲の人間が自分に隠していることがありすぎて人間不信に陥りかけていた。「みんな、酷い」


 あまりのへこたれ具合に真は慰める。「神楽さん、あんたですら知らないんです。最上層部しか知らないことなんですよ、きっと。その、まぁ……ドンマイです」「……みたいだね。後、ありがと。でも、ショックだわ」


 上司であった神楽の思考は、上層部からは余程、嫌われていたのかなあ。という思考に移りだしていた。実際は、最上層部、トップ5みたいなそんなレベルしか知らないような、知りようがない事実なので仕方がない。とは言え、神楽の地位もとい能力は高く、後数年あればその域に達していたし、歓迎されていたが……まあ知らぬが故にというやつだろう。

 

 そうこうしている間に、神楽は特務部隊である十二秘奥の上司となることが上層部から連絡され決まり、話は進むのであった。

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