第6話 今世の方針

こうして決意を固めた俺は、この世界での行動を決めた。


 まず第一に、魔導の知識を増やす。これは、間違えた使い方を防いで、正しい鍛え方を知るため。あと、この世界の法律は……あるか分からないがルールがあるだろうから知っておきたいからだ。これに関しては今日、貰った本を使って知っていけばいいだろう。


 次に、魔導の適性を調べる。これをしておけば、どの属性を優先して鍛えるかを決められるからだ。個人的には闇とか光みたいな相反する属性とかを使ってみたい。理由?カッコいいからに決まっている。これは先生に聞けばいいと思う、こういう本を買ってくるのだから恐らく適性の調べ方も知っているんじゃないかと、俺は睨んでいる。


 (結局、今は本を読んで先生を待つのが一番いいか)

 そう決めた俺は、全てのページを読もうと本を手に取った時だった。


 「真くん、先生です早速入りますよ」


 (今、ここで来ちゃうかあ。まあ教わるチャンスが来たと思えばいいか)読みたい本を読めないのを我慢して先生に返事をする。


 「どうぞー」


 「早速読んでは……くれていましたか、良かったです。貴方のことだから、てっきり読んでいないと思っていましたが、余計な心配でしたね」


 (む、記憶を取り戻す以前の俺は一体なにをしていたんだ?)この感じと、聞いている限り、真面目ではなかったようだな……


 「いいでしょう。貴方が普段不真面目な貴方が真面目に頑張っているのです。今日、貴方だけに先生が特別なことを教えてあげます」


 (マジで⁉︎いよっしゃああぁあ、これで聞きたいことが聞ける)自分で言うのもなんだけどチョロいな俺。


 「では、本はどこまで読みましたか?」


 そして、この時の俺は隠すことでもないので先生に普通に教えてしまった。普段隠している教育者としての先生のスイッチを余計に入れてしまうとは知らずに……


 そこから先は話すことすら憚られる地獄の勉強だった。


 「なるほど、そこまで読んでくれていましたか。これは俄然、教え甲斐がありますね。では、今から先の内容を教えていきます。 早速、〇〇ページを開いてください。」


 「そこは、こういうことでこう解きます」

 「ええと、こう?」こんな感じで終われば良い。


 キツイのは

 「これは、こう解き、更にここを入れ替えここをこうします」と、ドンドン複雑さが増していった。


 最終的には

 「ここを最初に解き、それを範囲指定の式に組み込み、さらに……」  


 「もう、無、理……」俺はここで気を失った。


 「真⁉︎」

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 「……真……ですか……起きてください真。大丈夫ですか?」


 「はっ⁉︎」ヤバい意識が飛んでいた。急いで謝らな


 「ごめんなさい真。つい、やり過ぎてしまいました。倒れるまで教えるなんて先生失格です……しばらくは休んでください」


 これを聞いて焦る。流石に自分が立てた計画を自分のミスで狂わせるなんて、俺は我慢が出来ない。なので急いで思考を巡らしてこの場を切り抜ける方法を考える。(マズイな、このままだと先生が俺のせいで教えてくれなくなってしまう。どうする?どうすれば……そうだ、適性の調べ方‼︎)


 「先生、せめて止めるまえに魔導の適性の調べ方を教えてよ」これで教えてくれと願いを込めて伝える。


 「へ?適性、ですか?えーと構いません、教えましょう」先生はすごく驚いた顔で俺を見てそう言ったが、計画は成功した。


 俺は言ったことが本心であると頷く。


 「そうです。せめて適性を知っていれば本で調べれるんで」そう言って、本心をありのまま伝える。


 (さあ、どんな方法だ?ハン〇ー×ハ〇ターみたいに水でも使うのか?流石にそれはないな)内心で自分が思い描く方法に思わず苦笑いした。そして、返ってきた返答は驚きの方法だった。


 「調べ方というより、全てを試した時のMPの消費の感覚で分かります」まさかの感覚だった。流石にそんな方法だと間違えそうで怖い。


 「先生、そんな方法ですか?」自分の疑問を口にする。


 先生はそう言われると思っていたのか冷静な口調で答えてくれた。


 「いえ、これだけではないですよ。というよりこれだと消費が大きい魔導だと勘違いするので、もっと正確に知りたい時は幻葬士の適性検査をやらないといけません」 

 最も普段はこの方法で充分ですが、と先生は付け足した。


 (幻葬士?なんだまた、新情報だな。でも世界を回るのに関係ある気がするし後で聞いてみるか)


 「一応、幻葬士にツテはあるので適性検査やってみますか?」


(マジで?この人の過去が気になる。でもそんなことよりこのチャンス。俺はみすみす逃す気はないんだ。やるしかないだろ!)


 「やります」と、そう強い気持ちで返事をしていた。

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