第5話 魔導との出会い
先生と別れた俺は今世の記憶を辿って自分の部屋に戻っていた。ちなみに俺が寝ていた部屋は怪我した時の為にある救護室みたいな部屋だったらしい。
(さて、先生が来るまでに、魔導を試してみるか)
大人であった前世なんて知らないとばかりに好きなことをする子供のように無我夢中で魔導の本を読む。
はじめに、エレメントと呼ばれる魔導に必要な要素について。
エレメント
魔導を使うのに必要と言われる、エネルギー、または属性のこと。
エレメントの種類は七つあり、それぞれ特徴がある。
火 主に攻撃に関する能力が高い属性。また、攻撃支援が出来る万能に近い属性である。
こどもへ 火はわるいやつをもやしたり、友達を助けられる魔導だよ。
水 主に回復支援が得意に関する能力が高い属性。また、変化させることが可能な特殊な属性、変化させた場合に氷が存在している。
こどもへ 水は友達の怪我を直したり、氷を作くれる魔導だよ。
風 主に行動を支援し動きを速くする速度支援、衝撃を殺すことが出来る防御支援、更には攻撃も可能な万能に近い属性。ただし、弱点が多い。 例として攻撃の威力は低い、また、防御支援は土には及ばない、消耗が激しい、といった器用貧乏に陥りやすい属性である。
こどもへ 足がはやくできたり、げんこつとかを弱くできる便利だけど、つかれやすい魔導だよ。
土 主に強力な破壊力を持つ攻撃や高い防御力を誇る攻防一体の属性。ただし、この属性は風と同じ、それ以上に消耗が激しいという特徴がある。
こどもへ かべを作ったり、どかーんってわるいやつを倒せる魔導だよ、でもとってもつかれやすい魔導だよ。
光 カウンター、反射といった攻撃が可能な属性。ただし、使い手を選ぶ制御能力の高さや難易度の高さが理由で使い手は少ないが幻影ファントムに対して非常に強力な魔導という特徴がある。
こどもへ わるいやつにこうげきをお返しできる魔導だよわるいやつはこれが大っ嫌いなんだ。ただ、とっても難しいから練習が必要だよ。
闇 吸収、蓄積といった防御、それを利用した攻撃、回復が可能な強力な属性。ただし、幻影ファントムによっては効果がない場合がある。また、光と表裏一体の関係なのか互いに弱点となっている。
こどもへ てきにのこうげきを横取りして、自分のにしたり投げ返せる魔導だよ。ただわるいやつがよろこんだりするから気をつけてね。
無 最も特殊な属性。最大の特徴は存在するもの複製が可能であるという点である。ただし、使い手に適性が必要不可欠であり、また使い手の少なさから研究が進んでおらず、これといった魔導が存在していない為、殆どがオリジナルになってしまい消耗が非常に激しいといった弱点が多いという特徴がある。
こどもへ おもちゃを増やしたりできる便利な魔導だよ。君しか使えないから友達と一緒にがんばって練習してね。
書いてある内容は初心者と子供が分かるように簡単な言葉になっていたがそれでも新しいことを知って始める俺には都合が良かった。
(魔導ってそんなにあるものなのか⁉︎)
読んで知った事実に驚きが隠せない。そして更に読み進めていく。後は大体、魔導の使い方と注意点が載っていた。特に使い方が読んでいて面白い。内容は……
使い方 魔導を使うには、頭の中にある魔導野に魔導式を立て解いて使う必要がある。その際、自身の体内に発動に必要なエレメントを操るエレメントパワーまたは、魔力と呼ばれるMPエレメントポイントが必要不可欠である、これは練習、努力によって増やすことができ、方法として繰り返し使う。一度、全てのMPを使い切る。といった方法がある。
魔導式とは魔導を発動させる為の決まった形の式である。
また、式を立てる際、発動の式を知って暗記している方が好ましい。 また、暗記していなくても、求める魔導を知っているなら強引に式を立てることで使えるがミスが起きやすく、ミスをした途端、魔導式が乱れ発動しない。その為、暗記が当たり前であり、一般的である。
こどもへ 魔導を使うには頭の中で計算して魔導を使うよ。計算するには式を知っていると簡単にできるから式を覚えておいてね。
エレメントパワーは魔導を練習すると増えるから、頑張って練習してね。
といった感じだ。
(ただ、これ前世でなーんか聞いたような内容なんだよな……まあ、いいか)
そんなことより俺は魔導を試してみたかった。本当に出来るなら異世界だと分かるし、明確な目標も作れる。だから先生が来る前に誰でも使え一番簡単だとされている、明かりの魔導ランプを使う。
これはさっきの本に練習用の魔導として載っていた魔導だった。式も簡単で初めてでも見ながらなら使えそうだったからこれにした。
「ええと、《ランプ》」
正直に言えば《ランプ》ですら、本当に出来んのか? と半信半疑であった。でも言葉と同時に効果はすぐに表れた。
「マジで?」
目の前に浮かぶ仄かに輝く光源。手で光源を触って電線の役割をしている紐やら何かが無いかを確認するも、何もぶつかることは無い。何かに引き寄せられるように、今度ははゆっくりその光源に手を近づけていく。
「はは、ははは、はははは、すっげええ‼︎」ただ光源に接触することは無かった。ただ熱は仄かにある。ただ手がその光源を貫き、切り裂く、しかし光源は最初の形のままだし、そこから微動だにしなかった。
(明かりよ、消えろ)と念じると、その不思議な光源はすぐに消えてしまった。
俺は部屋の電気を消し、カーテンを閉める。そしてもう一度、魔導を使った。
ポウッ、と薄暗かった室内が、不思議な光源によって照らされる。俺が消滅するよう今度は口で唱える。するとすぐにその光球は光を失い、あたりは薄暗闇になる。
俺は再度、ランプの魔導を唱え、室内を照らす。
「信じられねえ……」
生み出された光源は電気を動力とする熱を持った光ではない。魔導によって生み出されたランプだ。すぐに意識を消すことに変えて、ランプをまた消す。
魔導を発動させると、ピカ、とあたりが照らされる。
見れば見るたびに感動し、そして魔導という摩訶不思議な力に引き寄せられる。
何をやっているんだと思うかもしれない。だって、俺が今使ってるのはランプという、初めてでも使える魔導だ。幼稚園とか小学生くらいの人間が一番初めに練習の為に覚えるらしい魔導だ。なに、おまえはその世界で当たり前の魔法で感動しているんだ、と言われたっておかしくはない。
でも仕方ないと思う。もし魔法とか魔導といった科学とは違った概念が無い世界の住人が、いきなり魔法やら魔導やらを見たらどう思うか。失禁とまではいかなくても腰を抜かして驚くことはあり得ると思う。
でも、俺たちの世界はファンタジーが無いことが普通で、小さなころから慣れてしまってるんだ。だから驚く。
だから、魔導だって同じだ。俺を馬鹿にする奴はこの世界に腐る程いるだろう。だが言ってやりたい。魔法のない世界から来てみろ。おまえらはたかがランプというかもしれない。だけど俺にとっては電気を使わない、燃やさない、空中浮遊するランプなんだ。
「すっげぇぇぇよ、やっばっっっ!」
ランプをつけて消して、また、つけては消して。繰り返すたびに思いは強くなっていく。
もっとこの世界のことを知りたい、魔導を知りたい。
生み出された光に手を伸ばし、包み込むように手をかぶせる。そしてゆっくり手を開き、まったく衰えることのない光を見つめる。それをしていくうちに、自分の心の中でくすぶる何かに、だんだんと火が付いていった。
いろんな魔導を見たり使ってみたい。そして、この不思議な魔導を極めたい。どうせやるなら魔導を使うものの頂点に立ってみたい。
「頂点、か……」
異世界の記憶がある俺にはかなりのハンデがあるかもしれない。でも、それでも、目指してみたい。むしろ、目指さなくてどうするんだ。こんな前世には無い超常現象だぞ?
「決めた」
俺は決心する。
世界を見て周れる程度の能力を手に入れて、世界を回りたい。
そして、最強と呼ばれるを実力を手にして最強と呼ばれる。
「やって、やる……やってやるぞぉおおお‼︎」
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