Day30 はなむけ ~三番街・カナン港~

 旅立ちの朝は、雲ひとつない快晴だった。

 大仰な見送りは断って、いつものように「行ってくる」とだけ告げて家を出る。

 鞄を抱えて飛び立とうとした瞬間、潮風が髪を乱す。

 はためく船の旗。舞い踊る色とりどりの花びら。

 門出を祝してくれているようだと、柄にもなく思った。

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《世界樹の街》掌編集 ノベルバー2021 小田島静流 @seeds_starlite

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