第25話 革命軍のアジトを突き止めたぞ~トーマス視点~

「クソ!!」


馬車の中で怒りが爆発する!せっかくルシータ嬢とデートだったのに!あろう事か革命軍に邪魔をされるだなんて。それも助け出せたとはいえ、ルシータ嬢に怖い思いをさせてしまった!


ふとポケットに手を入れると、ルシータ嬢に貰ったタイピンが。嬉しそうに俺にタイピンを渡して来たルシータ嬢。本当は今日、気持ちを伝える予定だった。でも、こうなってしまったなら仕方がない!


革命軍を断絶して、全て終わったら改めてルシータ嬢にプロポーズしよう。そう言えば軍団長とか言う男、ルシータ嬢を妻にすると言っていたな!あぁ、増々腹が立ってきた!ルシータ嬢は俺の妻になる人なのに!!


イライラしているうちに、騎士団にやって来た。急いで会議室に向かう。既に各騎士団長や副騎士団長、さらに総騎士団長と王太子もいた。


「遅くなり申し訳ございません!」


「大丈夫だトーマス、色々と大変だったな!とにかく座れ!」


言われるがまま、ジョセフの隣に座った。


「それでトーマス、ジョセフの話しだと革命軍の軍団長は、ジャクソル元公爵家の次男だと聞いたが」



「はい、その様です!ルシータ嬢が襲われた時、そう言ったとの事。さらにあの男はルシータ嬢を自分の妻にする為、連れ去ろうとしていました!」


俺の可愛いルシータ嬢をな!クソ、思い出しただけで腹が立つ!


「そう言えばあの男、随分とセレナにしつこく絡んでいたな!ルシータはセリナによく似ているから、欲しくなったのだろう」


そう言ったのは王太子だ。


「なるほど、するとルシータ嬢を狙って、軍団長が公爵家を襲う可能性もあるな!とにかく、公爵に話を付けて警護を強化させよう!早速公爵に連絡をしろ!」


何だって、ルシータ嬢を狙うだと!


「総騎士団長!それでしたらその警護、俺にさせていただけませんか?ルシータ嬢に何かあっては大変だ!俺が自ら警護をします!」


とにかく俺の手で、ルシータ嬢を守りたいんだ!


「分かった。それならお前の部隊に、ルシータ嬢の警護をしてもらおう」


よし、これでルシータ嬢を守れるぞ!


「それで、トーマスが軍団長に付けた居場所を特定できる器具は、今どこを指しているんだ?」


そうだった、こっちが本題だ!


早速器具を皆の見える場所に置いた。


「ここは国の一番西にある、森の中だな!わざわざこんな場所に、革命軍のアジトを置いていたのか!あそこの森はかなり入り組んでいて、土地勘のない人間が入り込むと迷子になる!とにかく、しっかり作戦を立ててから攻め込もう!」


その後は総騎士団長の指示で、森の地図を片手に細かな計画を立てた。とりあえず、別の部隊が明日にでも現地入りし、バレない様に様子を伺う。そして準備が整い次第、一気に囲い込み、攻め込むと言う作戦で行く事になった。


とにかく俺の部隊はルシータ嬢を守る事が最優先だ!早速ルシータ嬢の父親でもある公爵に話を付け、公爵家の警護に当たる事になった。もちろん外で警護しようとしたのだが


「トーマス様をお外で警護なんてさせられませんわ。それに、目を盗んでひっそりと部屋に侵入されたら一溜りもありません!どうか私の側に出来るだけいて下さいませ!」


そうルシータ嬢に懇願され、さらに夫人にも


「ルシータもあなたが側にいて下さった方が安心するでしょう。どうかお側にいてやってくださいませんか?」


そう言われてしまった。ここまで言われたら、いう事を聞くしかない。結局屋敷内で警護する事になった。そんな俺に嬉しそうに話しかけて来るルシータ嬢。


「トーマス様、お茶を入れましたの。一緒に飲みましょう!」


「トーマス様、お腹は空いていませんか?食事の準備を致しました。一緒に食べましょう!」


といった感じで、ずっとルシータ嬢と過ごしている。そんな俺を見た騎士団員たちが


「団長だけずるい!」


と、抗議の声が上がったので、ルシータ嬢に


「仕事で来ている為、あまり俺に構わないでくれ」


と伝えた。クソ、本当はずっと一緒に居たいのに!でも俺は騎士団長。俺だけ美味しい思いをするのは良くないよな…そう思っていたのだが、警護に当たっている騎士団員たちも丁重にもてなしだしたルシータ嬢。完全にお客様になってしまった…


そんな日々が2週間ほど続いたある日、ついに革命軍のアジトに突入する事になった。もちろん、俺も参戦するつもりだった。でも…


「トーマス、お前はここに残ってルシータ嬢を守れ!」


総騎士団長にそう言われてしまったのだ!クソ、俺の手であの軍団長を仕留めたかったのに!でも俺たちが留守の間に、万が一ルシータ嬢が狙われては大変だ!そんな思いから、俺たちは引き続き公爵家に残る事になった。


そろそろアジトを攻め込んでいるはずだな!そう思っていた時、別の騎士団長から連絡が入った。革命軍を束ねていたジャクソル元公爵と夫人、さらに長男家族は捕まえたものの、どこを探しても次男がいないとの事。


もしかして逃げたのか?

なんだか胸騒ぎがする!とにかく、気を引き締めないと!

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