6話 クラス

 クラスの選定が終わった後、


「なぜ、神字を伏せたのですか」


「必要があった、それだけだよ」


 司教と騎士は、睨み合う。その要因は、ある農奴に刻まれたクラスにあった


「だとしても、神を裏切ったことになりますよ」


「それでもいいさ、神が嫌いでね、私は」 


 (この人、なんで、この職つけたんだ)


 騎士は、彼の気持ちを汲み取れていた。今あの『クラス』を刻まれし者を、公表すれば、潰される。例えば、貴族とかに。だが、


(それを踏まえても、危うい)


 神字とは神に与えられし文字。その文字を読み間違えることは、大罪である


「そこまでですか、彼は、どこかで躓くかもしれませんよ」


「なら、私の負けだ」


 結末は、誰にも分からない

 


 ◯


 (救済主、そんなクラス知らないけれど)


 分からないけれど、名前的に、大層なものなのは理解できる。だが、僕は、別の意味で焦っていた


 (まずい、このままだと)


 このクラスが公表されてしまえば、王都で繰り広げられる政争に巻き込まれることになる。どうすればいいのか、焦っていると司教の口が開いた


「『剣士』」


 こうして、クラスの選定は幕を閉じた


 ◯


(はぐらかした?)


 そんな疑問はある。だが、前へいかければならない


 ―冒険者


 明日、この村をでる。その前に、村長を口説きふせなければならない。

 そんなことを思っていると、


「ちょっと、きみ」


 さっきから声をかけられる。だが、


「きみ、ちょっと!、さっきから、声かけてんじゃん」


 僕は、無視を続ける。声をかけてくるのは、『闇の隠れ家』の幹部である


(こういうのは、関わんない方がいい)


 僕は、家の道筋を歩くのだが、


「あんた、無視は駄目よ。人として」


 知らぬ人がいた。原作では、誘いにくるのは男1人である。だが、


「なんですか」


 目前に立つのは、とんがり帽子を被った女である。


 刹那、火の玉がこちらに推進する



 ◯


 モモンは、火の玉を放つ。だが、その玉は、水の玉で相殺される


(なに、この子)


 モモンの体がぶるりと震える。それは、歓迎であった


 (魔法の熟練度では、私の方が遥か上。なのに、ついてイケてる、私に)


 そもそも、農奴に場数を踏む機会などない。なら、なぜこの状況を引き起こしているのか。それは、


(『引き出し』があまりにも疾すぎる)


 それに、 


(制御できてない、全く)


 モモンの血が騒いでしまう。魔術師として



 ◯


 僕は、『火玉』に対して、『水玉』をぶつかる。それを何回も繰り返す。相手の玉がでかく、速くなるごとに、後ろに下がらせられる


(勝てない)

 

 魔力の練り上げるスピードはついていけているが、この均衡はもうすぐ崩れるだろう


 それは、魔力量の差である


 そして、僕は膝をついた


 ◯


「もったいない、なんで、駄目だったのかしら」


 彼らは、馬車の中にいた。そこに、農奴の姿はなかった


「最初は、いいと思ったけどよ。あそこで、諦める奴にうちは必要ないと思ったんだよね」


「なにそれ、必要ないって、うちら人手不足じゃん」



 ◯


 彼らは、結局、嵐のように去っていた。そして、僕は


「俺の従者にならないか?」


 勧誘を受けていた

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