5話

ギルドマスターはこう言った、 力あるものが偉いのではない、力を出しく使えるものが偉いのだ


   

   


「どうかね、自信は」


「別に」


 司教は、話しかけてきた。僕は、素っ気なく返す。ただ、それだけである


  ◯


 ―クラスの選定


 今まで生きてきた人達にとってなんら変わりもなければ、一発逆転を狙えるものでもある。 


「頼むぞ、息子よ」


 そして、分岐点(ターミングポイント)でもある。特に、野鍛冶などの技能職の親を持つ子供などにとっては

 

(かわいそうに)


 結果、野鍛冶の息子のクラスは『農工』であった。彼のように落ちる者もいれば、上がる者も出てくる


「これは、真か」


「ええ、しっかりと刻まれてますね」

 

(『剣浪』か、変わんなかったか)


 ススムは、『剣浪』というクラスに就いた。ぶっちゃけ、意外である。僕の予想では、今のススムなら『剣同』に傾くと思ったのだけれど

 

 ちらりと、教会の端に視線を向けた。そこには、黒のマントをはためかせた男がいた


 (やっぱり、来てるんだ)


 彼は、いわゆる闇ギルドというやつだ。『闇の隠れ家』の幹部であり、ススムは彼の手下になる。それが、本来の未来である。だが、


(大丈夫そうかな)


 彼の隣には、婚約者がいる。だから、大丈夫であろう。そして、僕の番が回ってきた


  

 ◯

 

「まじ、だりぃ」


 ため息と共に、苦言を漏らすのは、『闇の隠れ家』の幹部である


「しょうがないでしょ、あっちは顔が割れてるんだから」


「けどよ」


 彼らは、故意でここにきたわけではない。彼らの所属する闇ギルドの規模はでかい。ゆえに、仕方なく、此処に辿り着いたのだ


「でも、いたじゃない、『剣浪』ってなかなかいないわよ」


「まぁな。でも、素材がいいだけかもしれねぇじゃん。それに、この村の領主が唾つけてるだろ。てことは、取れねぇ」


 彼らは、闇に潜む者。無用な争いは避けるのが闇ギルドである。彼らは、そうやって規模を広げた。だが、彼らの意識は、視線は、そこにはなかった 


「あいつ、なにもん?」

 

「ええ、分からないわ」


 さっきから地を踏む音が彼だけが響かせない。滲み出るマナの痕跡。そして、何よりも―


「うっす、存在感」


「ええ、同感ね」


 

 まるで、幽霊のようである


 

 僕は、水晶に手をかざす。すると、文字が横に刻まれる

 

 そこには、こう刻まれていた  


 ―『救済主』、と

 

 



 

 

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