由井、田原くんと初めてしたときのことを回想
まあそういうわけで私は滞りなくパンツを脱いだわけだけど……そこでふと思い至ったのよね。そういえば田原くん、コンドーム持ってるのかしらって。
で、聞いたのよ。それなしでするのはさすがに躊躇われるし。
すると田原くん顔を真っ赤にして、ブンブン首を振ったの。
「持ってないです……」
「持ってないの? 困るわね、それだと……」
じゃあやっぱりやめておこうかなという考えがチラッと脳裏を掠めたけど、田原くんがあんまり悲痛な顔してるもんだから、ねえ。そういうわけにもいかなくて。
仕方ないから山中さんが使ってるのを借りることにしたの――あの人、こっそり保健室のベッドの下に何個も入れ込んでるのよ。その気になったときにいつでも出来るようにって。
で、それを引っ張り出して、田原くんに渡してあげたの。
でも田原くん、使おうとしないのよね。前を押さえてもじもじしているばかりで。どうしたのかなあと思っていたら、こんなことを言い出して。
「あの、由井先輩、僕のその、あれ、出してもいいでしょうか」
「……そりゃあ、出さないと出来ないから、出してもいいわよ」
「でも、でも、その、僕のもしかしたら形が変かも……こういうの、はは、はじめてで」
きっと気後れしていたんだと思うけど、そういう反応が新鮮でかわいくて、『この子としていいのかな?』っていう迷いが一気に吹き飛んだのよねえ、私。むしろ『この子に色々教えてあげよう』って変な使命感がわいちゃって。
「大丈夫よ田原くん。変な形なんてないから。皆全部違うんだから。ほら、出して。つけ方教えてあげるから」
「は、はいいっ」
意を決して田原くんがズボンとブリーフを下ろした。
ぼろっと現れたものを、私は思わず二度見してしまった。だって、本当に大きかったから。もちろん第一には体が大きいからだろうけど、それにしても随分頼もしいというか逞しいというか、大人用って感じだった。
「あなた、大きいのねえ」
と言ってあげると、田原くんはうれしそうだった。男の人はおおむね、そういう反応をする。別に大きければいいというものでもないのだけど。
「あのう、コンドーム、は、入りますか僕のに。なんだか小さいみたいですけど」
「入る入る。すごく伸びるから。こうやって上から被せてね、下へ降ろして……」
装着自体はすぐ覚えてくれたけど、いざ始めたところでまた問題が起きた。田原くん、入れるところがどこなのかよく分かっていなかったのだ。
「あの、ここですか」
「違う、そこは違う、その下――下過ぎるのよ、その上なの」
これはもうこっちが入れてあげたほうが早い。そう判断した私は田原くんのを握り締め、正しい場所にあてがった。
「ここよ、ほら」
それでようやく田原くん、私の中に入ってきた。
想像していたより、内側の抵抗感が大きかった。
田原くんが鼻息を噴出して、体を固くする。
「こ、ここからどうしたらいいですか」
「もっと奥まで入れて……まだ、先しか入ってないでしょう」
田原くんがぐうっと腰を進めた。動かし始めた。
すごく不器用だったけど、下手だったけど、でも、一所懸命やってるのは伝わってきたから、嫌な感じは全然しなかった。
だけど田原くんは自信がないのか、最中に、何度も何度も聞いてくる。
「あの、これでいいですか、いいですか?」
あんまり耳元でうるさくされると、こちらも行為に集中出来ない。
だから黙っていてもらおうと私は、田原くんの口を塞いだ。唇で。
直後田原くんの体温が、二度か三度急上昇した――繋がっているから、そこのところはよく分かる。
腰がもっと激しく動き始めた。
私は目を閉じて駆け上ってくる快感を味わう。
腰から下が溶ける。
田原くんが私の中に入れているものも、溶ける。
ああ、よかった。うまく出来た。
私は田原くんから体を離し、余韻に浸ろうとした。だけど田原くんはそうさせてくれなかった。腰を引くや新しくゴムをつけ、再挑戦してきたのだ。
こんなにすぐさま復活するなんて思ってなかったから、私は、大いに焦った。
「田原くん、ちょっと待――」
一回しただけで、田原くんは、こつを早くも飲み込んだらしい。先ほどとは段違いに、すんなり私の中に入ってきた。そして突き上げる。
一区切りついて、また復活。その繰り返し。
私は疲れてくると同時に、心配になってきた。こんなに時間をかけていたら、誰か来ちゃうかもって。だから田原くんが四回目だか五回目だかをしようとしたとき、止めたのだ。
「駄目よ、一回って言ったでしょう! 人が来ちゃうから――」
そこで本当に足音が聞こえてきた。廊下から。
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