第27話 革命パンの店

 僕とアソウギ君は王都新町の『革命パンの店』を見に行く事になりました。

『革命パンの店』は流星王様が命名してくれました。

 馬車は一般的な小型で目立たないもの、シーシャさんとシラヌイさんが護衛に着いてくれています。

 流星王様が護衛を着けると言ってくれましたが、新町の状態を目立ちたくなく自由に見たかったため、御者も断りシラヌイさんがやってくれてます。


 王都新町は王都の北に新しく出来た町だそうで、元貧民街でバラックや掘っ立て小屋が無秩序に建ち並んだ、強い風が吹いただけで崩れてしまうような危ない地区だったそうです。

 立ち退いた元住民は、もっと北に長屋風の小屋をいっぱい建て移住させたって流星王様が言っていました。

 働く気持ちと強い意志を持った者は、この新町に住み仕事が出来るよう手配したそうですが、犯罪者で無い事って基準が厳しかったのか、新町の住民に元貧民はほとんど居ないそうです。


「ナユタ様、貧民街の住民を雇う物好きは殆ど居ません、したがって貧民街の住民が生きて行くためには犯罪行為しか無くて、しかた無くでも悪事に手を染めた犯罪者を雇う者は皆無、こうした悪循環で一度でも貧民街に住み着くと出ように出られなくなります」


 シラヌイが説明してくれて、貧民街のカラクリがよく分かりました。




 新町大通りの中央一等地に僕達のパン屋がありました。

「これは…凄い!」

 何が凄いって?看板が凄い!『革命パンの店』と書かれ、ミートパンの絵まで描かれた大きな看板が目を引く大きな店は存在感に溢れていました。



 広々とした店内にはランチコーナー、丸テーブルが右側3台左側2台設置されパンを購入後そこで食べられるようにしています。

 飲み物は二種類、ストレートティーとハチミツレモン水がサービスで飲めます。

 パン販売カウンターの後ろは大扉があり、扉を開けるとパン工房になっています。

「「「「「閣下!お待ちして居りました!!」」」」」

「閣下でなく師匠と呼んで」

 王宮厨房の若手見習い料理人達、流星王様の命令で僕達に弟子入りした5人が直立不動で迎えてくれました。

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